写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

IC旅券

2011年05月19日 | 生活・ニュース

 10年前に取った旅券(パスポート)の更新手続きをしていたものを受け取りに出かけた。前回の旅券取得費用がいくらだったか覚えていないが、10年間有効のものを取得するのに1万6千円もかかる。運転免許証の更新費用に比べるとずい分高い。
 
 旅券とは、国外に渡航する者に対し国籍及びその他身分に関する事項に国が証明を与え、外国官憲に保護を依頼する公文書であるが、何故こんなに高いのか、はなはだ疑問が残る。

 とは言いながら、新しいものには一つ大きく改善されたところがあった。旅券の冊子中央にIC(集積回路)チップを組み込んだ分厚いカードが綴じ込んである。このICチップの中には、国籍や氏名、生年月日、旅券番号など旅券面の身分事項のほか、申請書に貼り付けてある写真から読み取った顔画像が記録されていると、係の女性が丁寧に説明してくれた。

 近年、旅券の偽変造による不正使用が増加し、国際的な組織犯罪や不法な出入国に利用されている。これを防止するために、偽変造が困難で、安全性の高い旅券としてICチップの応用が国際的な動きになったのだという。

 新しいものを受け取るときに、ICカードを机の上に置いた小さな読みとり器械にかざして見せてくれた。パソコンの画面に、旅券に貼り付けたと同じ私の顔写真と、生年月日やその他の個人情報が表示された。これなら、写真を張り替えたりしての偽変造は不可能である。
 海外旅行をする時、出入国時に入国管理官に旅券を提示すると、顔写真と本人とをじろじろと見比べられたあげく、認証してもらう。顔をじっくりと見られる時、ちょっとぎこちない時間を過ごすことになるが、IC旅券になったからといって、これが省略される訳ではない。

 さて、更新取得したこの旅券を携えての海外旅行はどこに行くことにしようか。行ってみたい所はまだまだたくさんある。体力がまだある内に少し遠出をしてみたい気にもなっている。
 気持ち的に、何かと息苦しい感じのしている昨今であるが、自粛という字を忘れて陽気で明るい国にでも出かけてみるかな。忘れかけていた感性とやらが、どこかの石畳の上にころがっているかもしれないから。