俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「ジャズ・カントリー」 ナット・ヘントフ

2007年01月02日 01時19分01秒 | 時系列でご覧ください
主人公トムは、ジャズに夢中の高校生。あこがれの「ミュージシァン」モーゼ・ゴッドフリーの演奏を聴きたくて、中には入れてもらえなくても、毎日ダウンタウンのクラブに通っている。やがてトムは、モーゼやその仲間たちと親しくなり、「ヒップ」(←って当時は言ってましたっけ)な彼らに魅せられて、ジャズへの熱い思いをいっそう高めていく。しかし一方で、白人である自分が、黒人の音楽であるジャズの世界に本当に入っていけるのかという不安もまた、強くなっていく ------ 。

冬休みに入って息子から何か面白い本をというリクエストに応えるべくごちゃごちゃになっている本棚の中から選んだ何冊かの本の中に滑り込ませたのがこのナット・ヘントフの(あの頃なら誰でも知っていた)「ジャズ・カントリー」。

翻訳した木島始さんが「あとがき」で「~ジャズだけでなく現代の音楽について語り合っていて、この本を読んでいないために、話し合いの仲間に入れなかったといって、買って読んだ若い男女、いや老人さえもが、何と多かったことか!」といみじくも指摘しているように今風に言うならば、まさに「マスト」であったこの本。



何度かの引越しの度にも付いてきたこともあって、奥付を見ると昭和53年9月第2刷発行とあって、定価も何と260円。あれからすでに30年近くの年月が流れたんだなと改めて実感。

本そのものはベトナム戦争が激化し、黒人公民権運動が活発に行なわれた時代である1964年に書かれていて、今読むと若干違和感を感じるところもあるけれど、ハイティーンの男の子が持つであろう普遍のテーマ、どのような「大人」に、どのようにしてなっていくのか、成長とは、そして友情とはといったことがしっかり描かれていて、再読しても充分面白かった。



特に主人公トムにさまざまな形でアドバイスすることとなる周りの大人たちの格好良いこと。それに対していろいろ思うこと大ではありました。

そしてふと「あの頃、ペニー・レインと」は実はこの作品にインスパイアされたに違いないと、確信してしまったのでありました。



今日の1曲 “ J'Attenndrai ” : Django Reinhardt

もともとジャズ批評家であったナット・ヘントフがアメリカ人以外で最初にジャズミュージシャンとして認めたのがジプシーの伝統音楽とスウィングジャズを融合させたジプシー・スウィング(マヌーシュ・スウィング)の創始者として知られるこのジャンゴ・ライハルト。
あの頃、憂歌団の勘太郎の影響もあってステファン・グラッペリともどもよく聴いていたものです。
それにしても薬指と小指の2本が動かなくなるというギタリストにとって致命的な怪我をしつつ、独自の奏法を確立したその弾きっぷりは、初めて動くところを見て、何だかえらく感激してしまいました。
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