ミャオの家より

今はいないネコの飼い主だった男の日常

ワタシはネコである(26)

2008-02-24 12:47:07 | Weblog
2月24日 朝、-5度。昨日の夕方からの雪はいちおう止んで、積雪6cm。これで2月はじめからずっと雪が消えることがない。北国ほどではないが、ちょっとした根雪状態が続いている。
 飼い主の話によれば、この家は標高600mの所にあり、気温の低減率を考えても、平地と比べて4、5度位も低く、夏は涼しくていいのだが、冬の寒さと雪の多さは、とても九州とは思えない。前には、50cmもの雪が積もったこともあったそうだ。平均気温で言えば、東北の仙台あたりに匹敵するとのことだ。
 このあたりの人は、冬の間は、クルマにスタッドレス・タイヤ(昔はスパイク・タイヤ)をつけて走っているのだが、都市部に住むほかの九州の人たちは、そんなことも知らずに普通タイヤのままやって来て、雪や凍結の道路で滑って、路外に落ちたりしているということだ。
 ワタシたちネコには、肉球の間に出し入れ自由の鋭いつめがあり、滑ることはない。冬山にも登る飼い主が、ワタシの前足の肉球と爪を見ながら感心したように言う。
 「オレたちが雪山に登る時は、冬山用のプラスティック・ブーツ(スキー靴のように防水保温性のある靴)をはいた上に、アイゼン(鉄のツメでできた滑り止め)を装着し、さらに雪が入らないようにロング・スパッツをつける、その上、手には、ピッケルまで持っている。それに比べてオマエはいいなあ。自前で全部そろっているものなあ。
 そういえば、北海道の春先の山で、ヒグマが雪の斜面を駆け下っているのを見たことがある。怖いというより、その速さに唖然という感じだったなあ。今度、一緒に雪山に登って、そのかっこいいとこ見せてくんないかねえ。」
 ケッ、じょーだんはその赤鼻のトナカイ顔だけにしてほしいよ。アナタの、にしおかすみこ趣味に付き合って、寒い山に行くなんて、ここでさえ十分に寒い山の中なのに、死んだってイヤです。大体、雪が降って喜ぶのは、スキー場と子どもとアナタくらいのものですよ。まったく、バッカじゃないの。
 窓の外には、また降ってきた雪の中、飼い主が出してやっている傷んだみかんを食べに、例のカッチョウ先生こと、ヒヨドリが来ている。羽をいっぱいに膨らまして、寒さに耐えているというのに。誰だって食べて、生きていくために一生懸命なのだ。
 ワタシも実は、このヒヨドリをはじめ何羽もの鳥をしとめたことがある。もう二十数年来の、余り熱心ではない野鳥の会会員である飼い主は、その鳥たちのなきがらを見ても、ワタシをとがめるでもなく、ただ後片付けをして、鳥たちを埋葬してやってるだけだ。それは、これが自然界の営みだとか、ワタシのことを分かってくれているとかいうよりは、ある種の負い目をワタシに感じているからなのだろう。
 次回には、そのあたりのことを、飼い主が話してくれるだろうと思う。