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映画「私の中のあなた My Sister's Keeper’09」劇場公開2009年10月

2010-12-11 10:43:46 | 映画

              
 白血病に冒された姉ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)を救うためには、妹アナ(アビゲイル・ブレスリン)の腎臓移植が必要とされた。しかし、アナは拒否して裁判に訴えると言う前代未聞の行動にでる。一体何を考えているのか? 家族の絆が揺らぐ。アナの決断にはケイトの願いが秘められていた。

 重いテーマを背景に親と子が直面する究極の選択の是非が問われる。映画から推測すると、未成年の子供は親の指示を拒否できるか? と言う問題は意見が分かれているようだ。この映画では、アナの勝訴としてあるが、問題が孕んでいるように思われる。

 映画の造り方を見ていると、ケイトや家族の元気な様子を挟んで暗い印象を和らげていた。ケイトは病院で同じ患者の男の子と恋をする。その恋は男の子の死で悲しい結末を迎える。その恋は病室の母サラ(キャメロン・ディアス)の前で始まるが、その態度は日本人の感覚とは随分違うものだった。

 きちっとケイトがサラを紹介することもないし、男の子も自己紹介するともない。二人が携帯電話の番号を教えあう時にペンをサラが手渡したりする。さらに、患者のパーティ出席でケイトの自宅から出る時、ケイトの父ブライアン(ジェイソン・パトリック)に男の子は何の挨拶もなく出て行った。

 これがアメリカ人の普通の振る舞いなのだろうか? 肩肘張らなくていいように思うが、ちょっとマナーに欠ける気がする。
 二人のキスシーンは、涙にかすんだ目で画面を見つめた。いずれ死の近い二人。この真剣な恋を見ていると、涙が止まらない。

 原作はジョディ・ピコーで、ベストセラーになっている。私はジョディ・ピコーの2作品を読んでいるが、読後感想の中に「人間の怒り、苦悩、絶望それに愛と欲望を巧みな心理描写と品格のある文章で読む者を惹きつけて離さない」と印象を書いている。
         
         
         
監督
ニック・カサヴェテス1959年5月ニューヨーク生まれ。

キャスト
キャメロン・ディアス1972年8月サンディエゴ生まれ。
アビゲイル・ブレスリン1996年4月ニューヨーク生まれ。
アレック・ボールドウィン1958年4月ロングアイランド生まれ。
ジェイソン・パトリック1966年6月ニューヨーク市クイーンズ生まれ。
ソフィア・ヴァジリーヴァ1992年10月ミネアポリス生まれ。
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映画「狼たちの報酬 The air I breathe ’07」劇場未公開

2010-12-09 10:07:52 | 映画
 
              
 意外と掘り出し物の映画だった。捻った物語展開と都合のいい偶然が重なる。四つの感情 幸せ(Happiness)、喜び(Pleasure)、悲しみ(Sorrow)、愛(Love)が交錯し、最後に収束するのが幸せ(Happiness)からのおこぼれ、銀行強盗の強奪金だった。

 ユニークな切り口の映画ではある。Happinessの部は、フォレスト・ウィッテカーの銀行員がトイレで聞いた競馬の裏情報。いつも株式で稼ぐブレンダン・フレイザーが持ってきた現金をつぎ込む。

 レースはお目当ての馬が転倒して賭け金5万ドルが露と消えた。この金はギャングのフィンガー(アンディ・ガルシア)の金だった。返済に迫られた銀行員は、銀行強盗を働く。ビルの屋上に逃げたが警察の包囲網を知り、奪った金のバッグを放り投げる。
 その直後、警官の銃が銀行員を倒す。この放り投げられたバッグのことは、誰も気にしないだろう。それが最後にこいつが意外な役割を果たす。

 その間、喜びの主役は、ブレンダン・フレイザーだし、悲しみは、ポップ歌手を演じるサラ・ミッチェル・ゲラー。愛はケビン・ベーコンの医師がそれぞれのパートを受け持つ。
 偶然から派生する数々の出来事。人生は偶然に満ち満ちている。同じ電車に乗り合わせる。レストランに居合わせる。まったくの他人がそのとき、その場所にいる。いつもはそんなことはまったく気にもしていないが、映画のように客観的に描出されると、運命は偶然の産物かと思いたくなる。
 この映画を監督したのは、中国系の人で初監督映画。出来は劇場公開してもいいのではないかと思わせるほどだった。しかも、眠くならなかった。

監督
ジエホ・リー1973年ニューヨーク生まれ

キャスト
ケヴィン・ベーコン1958年7月ペンシルベニア州フィラデスフィア生まれ。
               
アンディ・ガルシア1956年4月キューバ、ハバナ生まれ。’90「ゴッドファーザーPARTⅢ」でアカデミー助演男優賞ノミネート。
               
サラ・ミッシェル・ゲラー1977年4月ニューヨーク生まれ。’94年にエミー賞を受賞している。
               
フォレスト・ウィッテカー1961年7月テキサス州ロングヒュー生まれ。’88クリント・イーストウッドが監督した「バード」でカンヌ国際映画祭の男優賞を受賞。’06「ラストキング・オブ・スコットランド」でアカデミー主演男優賞を受賞。
               
ブレンダン・フレイザー1968年12月インディアナポリス生まれ。
            
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六義園(りくぎえん)ライトアップ最終日

2010-12-06 18:30:36 | 見て歩き

 文京区にある東京都庭園六義園のライトアップが12月5日で終了ということなので行ってみた。先月20日には京都の永観堂のライトアップにも行ったが、ものすごい人の群れで結局入園を諦めた苦い経験だった。
 この六義園もそんな事態を避けたいので、午後三時半には入園した。ライトアップは、午後五時前ごろになる筈なので、おおよそ一時間半園内をぶらついた。永観堂の派手なライトアッ
プと比べると(外からでもその様子が窺えた)やや地味な印象のライトアップだった。
              
         
         
         
         西日が差し込んでいて眩しい
         
         
         ここがブルーのライトで彩られる

ここまでは、まだ明るいうちの園内
         
         
         
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映画「パリより愛をこめてFrom PARIS with Love’10」劇場公開2010年5月

2010-12-06 09:33:24 | 映画

              
 たまには出来のいいアクション映画も精神の解放には最適だ。ここ数日シリアスな映画を観てきたので、気持ちの上でいまひとつ晴れやかになれなかった。この映画は、頭痛薬のようによく効いた。

 パリの大使館勤務で有能なリース(ジョナサン・リス・マイヤーズ)は、上昇志向を強く持っている。駐在大使の秘書官に飽きたらず特殊任務を望んでいた。それにキュートな恋人キャロリン(カシア・スムートニアック)にも首ったけだった。

「お前の相棒になる男が空港で税関と揉めている。行ってこい!」の指令で駆けつけてみると、スキンヘッドに髭面の太めの男。CIAからきたというワックス(ジョン・トラヴォルタ)がわめいていた。
 持ち込み禁止品があるらしい。リースは、赤いテープを貼り付けた。そこには「外交文書」とぁった。救い出したこのワックス、暴れん坊で中華料理店に乗り込み、麻薬の元締めを求めて銃を乱射し中国人をことごとくあの世に送った。
 実に気持ちいい。あのチャンコロをやっつけてくれるとは。本来はテロ組織を追っていて、その誘い水としているが果たしてどうだか? 

 それはどうでもいい。カーチェイスも見応えがあり銃撃や格闘や爆発も一杯。男なら車の中で銃を組み立てていく金属音に聞き耳を立てていて「おお、いいな!」なんてバカなことを考える。アクション映画を観ると男は子供になるのかもしれない。そして意外なエンディングへとなだれ込む。キャロリンの愛は……? 
        
        
        
        
監督
ピエール・モレル1964年5月フランス生まれ
              
キャスト
ジョン・トラヴォルタ1954年2月ニュージャージー州イングルウッド生まれ。この役を楽しんだという。
ジョナサン・リス・マイヤーズ1977年7月アイルランド、ダブリン生まれ。孤児院出身という変わった経歴の持ち主。
カシア・スムートニアック1979年10月ポーランド生まれ。モデル出身。
         
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映画「マイライフ、マイファミリー The SAVAGE'S’07」劇場未公開

2010-12-04 12:28:56 | 映画

              
 雲ひつない真っ青な空、椰子の木が風に揺れ街路の木々がきれいに刈り込まれている。道路には塵一つ落ちていない。緑の芝生に囲まれた広いドライブウェイの奥には、平屋の瀟洒で明るい建物が見える。穏やかで平和な風景。

 しかし、この建物の中でうんちで壁に介護士への不満を書き連ねるレニー・サヴェージ(フィリップ・ボスコ)と20年の同棲を続ける内縁の妻も認知症という最悪の状況に置かれている人々が暮らしている。

 ここアリゾナ州サンシティ。アメリカの不動産会社デルウェブが、1960年にアリゾナ州の砂漠の真ん中に作った高齢者のみが住む人為的に造られ病院、教会、ショッピングセンター、図書館、テニスコート、ボウリング場、スポーツ公園が完備している実在の町。

 その内縁の妻が突然亡くなる。父親は非婚契約書を交わしていて、同居しても法律上互いの財産は別々で相続権はない。したがって父親は家を出なければならない。
 ジョン・サヴェージ(フィリップ・シーモア・ホフマン)とウェンディ・サヴェージ(ローラ・リニー)の兄妹に思ってもいなかった父親の介護という問題が降りかかる。金持ちでもない二人にとって完全介護の贅沢な施設は、のぞんでも得られるものでもない。
 妹のウェンディはそれでもなんとかしたいと施設の面接にこぎつける。面接のあと駐車場で口喧嘩が始まる。
ジョン「連中の標的は罪悪感を持つ家族。緑豊かな環境は入居者でなく現実から目を背けたい家族のためだ」
ウェンディ「現実って?」
ジョン「入居者の死さ。あの美しい建物はホラーだ。“健康なサポート”“緑豊かな環境”そんな宣伝文句で死を覆い隠している。死とは醜いものだ。クソと小便と腐臭にまみれてる!」

 ジョンの言うことも分かるが、それで一体何が解決できるというのか? いつの日にか誰にでも襲い掛かる老いとの戦い。他人事とは思えない現実。いつ自分が認知症になるかもしれないという不安。
 人はそれぞれ捉え方が違うが、認知症とかアルツハイマーを見ているとむしろガンの方がいいような気がしないでもない。しかし、これは得て勝手で残された介護をする側の論理だし、本人からすれば認知症ほど人間の最期としてはふさわしいものはないのかもしれない。恐怖や不安を感じないで済む。

 一方で自分の心を静めるために「病気」があることに納得している。神様は皮肉はお方で、「出産」という喜びを与えながら「死」という恐怖もお忘れにならなかった。肉体と精神の衰退をもたらす病気があればこそ死を受け入れられる。レニーの死で世代交代が行われ、ジョンもウェンディもそれぞれの道を歩みだす。

監督
タマラ・ジェンキンズ1962年5月ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。
              
キャスト
ローラ・リニー1964年2月ニューヨーク生まれ。
              
フィリップ・シーモア・ホフマン1967年7月ニューヨーク州フェアポート生まれ。’05「カポーティ」でアカデミー主演男優賞を受賞。
              
フィリップ・ボスコ1930年9月ニュージャージー州ジャージーシティ生まれ。
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映画「クレイジー・ハート Crazy Heart’09」劇場公開2010年6月

2010-12-03 09:28:39 | 映画

              
 往年のカントリー・シンガー、バッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)は、アル中で場末のバーで歌う境遇だった。57歳にもなってポケットには10ドルしかない。
 そんなある日、地元記者の取材をうける。その記者ジーン(マギー・ギレンホール)とやがて恋に落ちる。その恋もあるきっかけで破綻。バッドは更生を誓う。しかし、ジーンはバッドを受け入れてくれなかった。男の再生物語である。

 ジェフ・ブリッジスのひげ面でがっちりとした体格は、ウィリー・ネルソンともどもアウトローといわれた今は亡きウェイロン・ジェニングスを連想させる。それに歌声もかなりいいしカントリー独特の節回しも西部の男を髣髴とさせる。
 もう一つバッドの教え子になるトミー・スゥイート役のコリン・ファレルも歌もうまいしカントリー歌手になりきっていた。たしかコリン・ファレルは、アイルランド出身だったはず。言葉の壁を乗り越えしかも癖のある西部の喋り方や歌い方をマスターしているのには驚いた。

 私はカントリー・ミュージックも大好きで昼間はカントリー、夜になるとピアノ・ジャズに聞き惚れている。アメリカのいつ果てるとも知れない道をピックアップ・トラックで走る風景は、私にとってある種感動的な思いを抱かせる。アメリカならではの風景が大好きだ。あの風景にはカントリー以外考えられない。

バッドはアル中から更正して、思いを新曲にのせた。
どん底に落ちて やっと掴んだ かすかな愛
ここは疲れ果てた男の居場所じゃない
勝手に生きてきた
場末のビリヤードで球を突きながら
そんな暮らしは もう居心地が悪い
もうここで 正気を失ってはいけない
もうここで 背を向けてはいけない
こわれた心をなだめて
もう一度 やり直そう
もう一度
         
         
         
監督
スコット・クーパー

キャスト
ジェフ・ブリッジス1949年12月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。この作品でアカデミー主演男優賞受賞。
マギー・ギレンホール1977年11月ニューヨーク市ロウアイーストサイド生まれ。この作品でアカデミー助演女優賞にノミネートされる。
ほかにコリン・ファレル、ロバート・デュバル。
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映画「小さな命が呼ぶとき Extraordinary Measures ’10」劇場公開2010年7月

2010-12-02 11:00:50 | 映画

              
 ジョン(ブレンダン・フレイザー)にはポンべ病の二人の子供を抱えていた。妻アイリーン(ケリー・ラッセル)とともに明るく振舞っているが内心は不安で一杯だった。

 このポンペ病、ポンペという人の発見らしいが、遺伝性で発症すれば不眠、起床時の頭痛、運動の時の呼吸困難があり、さらに進むと筋力の低下、肝臓・心臓の肥大がやがて命を奪う。難病とされ4万人に一人の発症率というし、2001年の日本の調査では29例が報告されているという。(ウィキペディアより)

 そういう難病の子供二人を抱えたジョンとアイリーンの心境は? それを考えただけでも心が落ち込む。このポンペ病ばかりでなく、よく町で見かける障害のある子供の母親の表情は一様に明るい。そのような振りをしているだけなのか? あるいは慣れがそうさせるのか? 私には判然としない。

 ジョンは子供を救うために敢然と病気に挑んだ。それはその道の権威ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)に面会を申し込んだ。この変わり者の科学者は、一日ジョンを待たせておきながら目もくれずに帰宅途中に立ち寄るバーへ車を走らせる。その博士を捕まえて製薬会社を起こし、紆余曲折を経てハッピー・エンドとなる。

 この手の深刻なテーマの場合ややもすると極端に暗くなりがちだがそれがなかった。多分、民族性のなせるところだろう。このDVDを観たわたしの娘に「日本人が作ると暗いものになりそうだね」と聞いたところ「そかもしれない」と言って特別の反論もなかった。
          
          
          
監督
トム・ヴォーン1969年10月イギリス、スコットランド生まれ。

キャスト
ブレンダン・フレイザー1968年12月インディアナ州インディアナポリス生まれ。
ハリソン・フォード1942年7月シカゴ生まれ。
ケリー・ラッセル1976年3月カリフォルニア州ファウンテンバレー生まれ。'99ゴールデン・グローブ賞でテレビ・ドラマ部門主演女優賞受賞。’06「M:i:Ⅲ」に出演。
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映画「きみがぼくを見つけた日The Time Traveler's Wife ’09」劇場公開2009年10月

2010-12-01 11:16:20 | 映画

              
 もし、未来と過去に旅ができれば幸せなのだろか? 自分の五年後が分かるとすれば? さらに自分の死を見つめるとすれば? 

 時空を行き来する男ヘンリー(エリック・バナ)は、ある少女の豪壮な館の庭の茂みに身を潜めていた。その少女は赤いブランケットを芝生に敷いた。茂みから声をかけたのがきっかけで、少女と知り合う。

 成人した少女クレア(レイチェル・マクアダムス)とヘンリーは結ばれる。一人娘にも恵まれ、娘5歳の時にヘンリーが他界する。そして四年後ヘンリーが現われる。これだけのお話。

 一体テーマは何なんだ? 単なるSF? ファンタジー? ラブロマンス? 幸せとは? まあ、私としては信じられないが「永遠の愛」なんだろう。残された妻の人生までも拘束する。確かに舞い戻ったヘンリーは言う「待つ人生を送らないで}クレア「愛してる」ヘンリー「でも消える}クレア「分かってる」

 クレアに求婚する言葉に苦心の跡が見える。
ヘンリー「失ったら耐えられない存在は作るまいと思っていた。でももう遅い。決め手は美しさや知性じゃなく、君のくれる安心感だ」これは老練な人生の先達が言う言葉だろう。
 まがい物の美しさや知性は、すぐに剥がれ落ちる。長年培われて身についた安心感こそ男が求めるものであって欲しい。そんな気にさせてくれた。
          
監督
ロベルト・シュヴェント1968年ドイツ、シュッツトガルト生まれ。'05「フライト・プラン」ほか
製作者側にブラッド・ビットの名前があった。

キャスト
エリック・バナ1968年8月オーストラリア、メルボルン生まれ。
          
レイチェル・マクアダムス1978年11月カナダ、オンタリオ州生まれ。'04「きみに読む物語」'08「それぞれの空に」'09「消されたヘッドライン」はか
          
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