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小説 人生の最終章(1)

2007-03-27 12:52:08 | 小説

恥ずかしげもなく、また小説をアップします。
前回、アクション物の殺し屋とレズの女性を登場させましたが、今回は男と女の永遠のテーマ愛と性を書いてみました。それも高齢者のです。おじん臭く書きたくなかったのですが、さてどうでしょう。誰でも理想の女性や男性を夢見ていると思います。私が思う女性を描いてみました。エマ・トンプソンとダイアン・キートンをミックスした感じをイメージしました。

 


 本に集中していて気づかなかったが、「なんの本を読んでらっしゃるの?」という声に顔を上げた香田の目に映ったのは、相変わらず爽やかで魅力的な笑顔の美しい浅見けいだった。
 「やあ、おはよう」周囲を見回して、少し離れたところに席が並んで空いているのを見つけてそちらに移動する。
 並んで腰掛けながら、本の表紙を見せて「ミステリー、女性警官が主人公の短編なんです」このプラスチック製の椅子は狭く、並んで座ると彼女の腿と接触していて、なんとか隙間を作ろうともじもじするが結果は変わらない。彼女を横目で見ると口元に薄っすらと笑みが浮き、なんだかこの状態を楽しんでいるように見える。 今日は最初に会ったときと同じような白いブラウスにぴったりとした黒のパンツの肢体から、体温が厭でも感じられる。窓の外は、葉を落としていた木々が、近づく五月の大気で緑の衣装をまとい始めていた。このあと、今日は昼食を共にすることになっていて、いやでも期待が高まる。

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