Wind Socks

気軽に発信します。

映画 「ハンテッド(‘03)THE HUNTED」殺人マシンと化した元特殊部隊員とその教官の死闘

2006-06-08 11:19:36 | 映画
 2003年オレゴン州シルバー・フォールズの森で二人のハンターが惨殺される。惨殺死体の写真を見せられたL.T(トミー・リー・ジョーンズ)は、その手口から犯人の目星をつける。かつての教え子で、米特殊部隊員のアーロン・ハラム(ベニチオ・デル・トロ)の可能性が高い。
 追跡のため単身森に入り、アーロンと遭遇ナイフによる格闘がつづくが、FBIの包囲により逮捕する。L.Tが持たされた無線機が、FBIを誘導する役目を負っていた。
 物語はこれで終わらない。アーロンは脱走して、L.Tとの壮絶な対決がこの映画のメインになっている。アーロンがL.Tに胸を刺されて息絶えるという結末。

 この映画の褒めるところを探したが、残念ながら見当たらない。オレゴン州内の事件なのになぜFBIが出てくるのかといった細かいことは別にして、テーマなりメッセージが伝わってこない。

 アーロンは1999年3月12日、NATO軍の指揮下、米特殊部隊員としてコソヴォのジャコビツアで政府軍指揮官の住民皆殺し命令を阻止したとして、米軍最高の勲章銀星賞が授与されるが、コソヴォでの政府軍による住民虐殺の記憶が脳裏を離れず苦しむ。
 それが高じたのか、ある信念が植えつけられる。森でハンターを殺すときに“生き物を殺すときは敬意を払うべきだ”と言うし、逮捕されて取調室では“今年は60億羽のニワトリが殺された。食物連鎖で人間より上がいたら?その種が人間に対する敬意を忘れて大量虐殺したらどうする?”
 脱走したあと恋人の娘ロレッタに“もう人類は動物を敬わない。機会があれば殺しているんだ”という。人類の謙虚さを忘れた横柄さを指摘しているのだろう。気持ちは分からないでもない。だからといって、人を殺していいことにはならない。

 この辺が狂人殺人マシンたるゆえんなのだろうが、このメッセージの描き方が弱い。このように私にとっては記憶の留まることのない映画であるが、エンディングで今は亡きジョニー・キャッシュが歌う「The man comes around」“イエスが来る”という曲が収穫だった。

 監督ウィリアム・フリードキン‘71年「フレンチ・コネクション」でアカデミー監督賞と作品賞を受賞。

 キャスト トミー・リー・ジョーンズ、ベニチオ・デル・トロ1967年2月プエルトリコ生まれ。’00年「トラフィック」でアカデミー助演男優賞を受賞。コニー・ニールセン1965年7月デンマーク生れ。レスリー・ステファンソン1971年5月ノースダコタ州ファーゴ生れ。ジェナ・ボイド1993年3月テキサス州ベッドフォード生れ。‘03年「ミッシング」でトミー:リー・ジョーンズとともに準主役で出ている。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする