MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

医療通訳研究会(MEDINT)を立ち上げるまで(1)

2006-03-09 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
このブログはどんな方が見てくださっているのか、コメントを受け付けていないのでよくわからないのですが、いつもこんな硬くて重い(笑)ブログにお付き合いいただき感謝しています。

今週から数週間かけて、医療通訳研究会(MEDINT)を立ち上げた経緯と、これまでにやってきたこと、これからやらなければいけないことを少しずつ書いてみたいと思います。なぜ今頃組織の話?かというと、唯一トラックバックを貼っていただいている「奇兵隊」のE先生が団体の立ち上げの経緯を書いていらっしゃるのを見て、私も自分の組織について一度まとめておきたいなと思ったからです。ただし、このブログの更新はE先生ほど頻繁ではなく週1回水曜日ですので、気長にお付き合いくださいね。

話しは1998年にさかのぼります。JICAのパーティで、AMDA兵庫代表のM先生にはじめてお会いしました。当時、AMDA兵庫は「ネパールこども病院」を設立されたことで、すでに有名でした。ただ、先生は、AMDA兵庫はネパールこども病院だけでなく活動の3本柱を持つこと、そのふたつ目に「在住外国人の医療に関する活動」を掲げており、どのようなニーズがあるかと様々な角度から考えているとのことでした。AMDA兵庫の活躍は、毎日新聞などを通じて知っていましたが、在住外国人の医療について関心をもってくださる医師にあったのはその時が初めてだったので、自分ができることであれば、お手伝いしたいと思ったのが、活動につながる最初の出会いです。
私は1993年から外国語による相談窓口に勤務しています。その職務の中で、医療と言葉の問題にある危機感を抱いていました。どの病院、医師や看護師の方も一生懸命、治療してくださっているのです。しかし、医療現場に通訳者がいなくて、言葉の問題で患者側が病院や治療を信じてくれなかったり、帰国せざるを得なくなる悲しいケースを体験しました。また、外国人の保険診療や福祉制度に詳しい人も少なく、適切なアドバイスを与えられずに未払いになってしまうケースもありました。これは事実に反することですが、外国人医療=未払いのイメージも蔓延していました。こんな状態では、医療者は外国人の診療なんてしたくないだろうなとずっと思っていたのです。
ですから、1998年に行われたAMDA兵庫の「外国人医療に関する医療者の意識調査」の結果を見てとても驚きました。多くの医療者が外国人をきちんと診療したいという意思を持っているにもかかわらず、医療通訳者が見つからないなどのシステム面の問題で対応できないと思っていることがわかりました。
医療従事者も通訳者も患者も思いはひとつで、迅速で良質な医療通訳のシステムを導入して、外国人にとって快適な医療環境を作りたいということなのだとはっきりと理解しました。では、こうした課題にどのように取り組んでいけばいいのか・・・。まったくわかりませんでした。残念ながら、私にはすぐに問題に取り組む行動力はなく、そこからさらなる出会いと長い模索の日々が始まりました。