ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

(そのような人間はたくさんいるとはいえ)地元でない自治体における自分への期待に負けたか?(福井県職員の着服)

2023-04-16 00:00:00 | 社会時評

大して珍しくもない話ですが記事を。

修学旅行積立金など1500万円余着服の坂井高校職員懲戒免職
04月14日 17時38分

坂井高校の職員が、生徒から集めた修学旅行の積立金など、1500万円あまりを着服したとして、懲戒免職の処分を受けました。

懲戒免職の処分を受けたのは、県立坂井高校の事務職員、遠藤爵由主事(24)です。
県教育委員会によりますと、遠藤主事は、去年1月から3月にかけて、生徒から集めた修学旅行の積立金の一部や授業料など、あわせて1578万円あまりを着服していたということです。
去年の修学旅行は、予定通り実施されましたが、ことしに入って、別の職員が支払いをするために口座を確認した際に、残高の不足に気付き、学校側が調べようとしたところ、主事が親族を通じて申し出たということです。
引き出された1500万円あまりは、親族と本人がすべて弁済したということです。
県教育委員会の聞き取りに対して、主事は、ほとんどをオンラインのギャンブルに使ったと説明し、「不慣れな環境で仕事のストレスが大きかった」などと話しているということです。
県教育委員会は、14日付けで懲戒免職処分にするとともに、監督責任として当時の校長と事務長を減給、当時の教頭を戒告の処分としました。
県教育委員会の萩原雅広副部長は「生徒や保護者、県民の信頼を著しく損ない深くお詫び申し上げます。綱紀粛正を徹底し信頼回復を図りたい」と陳謝しました。

この件を初めて知ったとき、私は「ずいぶん若くして、やっちゃったな」と思いました。着服し始めたのが2022年の1月ということは、大卒で入ったのなら(そして大卒でした。後述)入ってから2年度目(誕生日の関係で初年度の可能性もあり)で始めたことになります。後で確認したら、1999年3月の早生まれだったということで、すると2年目ですか。多分浪人はしていないでしょう。もっともそれでも1年以上発覚しなかったのですから、これは引用した記事のように、校長や事務長らの管理が悪かった部分もあるのでしょう。こちらの記事にも。

>県教委のマニュアルでは、生徒から集めた金は複数でチェックすることになっていましたが、坂井高校ではチェック役の校長や事務長がチェックを怠っていたということです。
県教委は、緊急で県立学校の校長や事務長の会議を開き、再発防止を徹底させることにしています。

とあります。

それで私は、「遠藤爵由」という名前で検索をかけてみましたら、「おいおい」でした。検索結果を。

ご覧になっていただければお分かりの通り、ご当人ソフトテニスではひとかどの人物のようですね。で、その実力を見込まれて、福井県庁に入庁したということでしょう。

そういうことをあんまりよくご存じでない方もいるかもですが、特に地方の自治体などは、スポーツ(さすがにメジャーでないスポーツが多い)の(元)選手を、時に優先枠で雇用したりすることがあります。今年の春に報道された元女子レスリングの金メダリストである土性沙羅が出身地である三重県松阪市役所に就職したということが話題になりましたが、これもそのようなことなのでしょう。またソフトボール出身で、プロ野球の北海道日本ハムファイターズにドラフト指名され入団したことが話題となった大嶋匠は、戦力外となって引退後、球団職員としてのオファーやソフトボール関係の誘いもあったそうですが、けっきょく地元の群馬県高崎市の職員となりました。もっとも彼の出身は、お隣の前橋市のようですが、高崎市がビックカメラ高崎ビークイーン太陽誘電ソルフィーユなどがあるソフトボールの盛んな街であるし、彼自身も自治体職員を第二の人生の場所として考えていたようでもあったし、また弟さんが高崎市役所にすでに在籍していたということもあったようです(以上の情報は、Wikipediaより)。弟さんなどを見ていて、高崎市役所の側も、大嶋の人間性などをあるていど評価している部分もあったらしい。高崎市役所には、男子のソフトボール部もあります。

で、選手を引退した土性や、ソフトボールをプレーしているとはいえ、選手としては全盛期の次のステージにいるといっていい大嶋らとちがい、今回の着服の人物は、完全に現役ですからね。あんまりこういうものを引用するのもよろしくないのかもですが、公務員という責任のある立場の人物ですのでご紹介しちゃいますと、

2022年 ソフトテニス 日本リーグ 男子 第1節 第2対戦 遠藤爵由(福井県庁) 対 荒尾大輔(UBE)

apan Company Top8 ソフトテニス 男子 福井県庁 対 ヨネックス 第2対戦

2022国体ソフトテニス競技 成年男子/準々決勝 広岡宙(広島県)vs遠藤爵由(福井県)

といったわけです。つまり彼は、日本の中でも相当なレベルの選手といっていい。学生時代も、出身校のツイッターなどでも紹介されています。

またこちらでは、出身校というのでなく、全国の有望な学生アスリートを紹介する企画にも登場しています。一部抜粋して引用します。

>所属:関西学院大学ソフトテニス部
・出身高校:三重高校

>将来の夢を教えてください。
哲学者になること。

>得意な科目は何ですか?
教育哲学ですかね。

>夢に向かって日頃から心がけていることは何ですか?
できないことへの挑戦です。何事にも逃げずに戦うことですかね。

今となってはどれも「どうもなあ」ではありますね。福井県庁のソフトテニス部のHPがありまして、確認したところすでに彼の紹介は削除されていますね。で、監督(兼主将)やベテラン選手が、ご当人と同じ高校です。とすると、たぶん彼らの引きで福井県庁に入った可能性がありますね。さすがに先輩たちも、絶句ではないか。

ところで地元のテレビ局(福井放送)の記事でちょっと気になるところが。

>県の調べに対し、遠藤元主事は「県外出身で慣れない環境でストレスがたまっていた」などと話しているという。

他の記事ではこの辺りは紹介されていないのですが、私はこの記事でこの件を知ったので、最初は「県外出身」ということの意味が分からなかったのですが、彼が運動枠で入庁しているのだと知って、「なるほどね」と思ったわけです。

もちろんこういう人は多いわけだし(同じ部の高校の先輩たちも、福井出身ではない)、彼は小学生の際に出身地(岡山県総社市)の地元の広報に写真入りで紹介されているくらいで(さすがにほかの人の肖像権などもあるので、スクリーンショットはこちらではご紹介はしません)、当時からかなりのアスリートだったし、また高校時には、すでに他県に行っていたわけです。大学も違う県だし、彼はすでに24歳にして、人生の主たる時期を地元以外で過ごしていたわけです。

おそらくですが、高校や大学時代は、もちろん非常に厳しかったでしょうが、スポーツ実績を出すことが目標だったわけで、スポーツのほかには、あまり問われるものがなかったのでしょうね。しかし社会人になったら、ましてや公務員ですから、スポーツばかりしているわけにもいかない。そのあたり、彼の精神のバランスが崩れた理由の1つなのでしょう。

余談をさせていただきますと記事を書いていて思い出したのですが、すでに退職していますが、「公務員ランナー」として話題になった人も、やはり彼と同様の県立高校職員(埼玉県立春日部高等学校定時制)とのことでして、ある程度のアスリートの職場というのは、公立高校の事務員というパターンでもあるんですかね。何とも言えませんが。

すでに全額弁償されているとのことですので、おそらく起訴されても執行猶予で判決はすむと思いますが、それにしてもオンラインの公営ギャンブルも怖いですよね。直接競馬場や競艇場(いまは、ボートレース場っていうんですかね)などや場外などに行かなくても、容易に金をかけられます。過日の記事でご紹介した男性も、オンラインで馬券を買うことで、さらに競馬にのめりこんでしまいました。これではどうしようもない。

佐藤忠志氏らのような全財産を使いつくした人たちとの対比が興味深い(子どもの有無は決定的だったのだろう)

この後の彼の人生も相当大変でしょうね。ソフトテニス界からは追放だろうし、親からも縁を切られる可能性もある。それはご当人の不徳のいたすところで仕方ありませんが、ともかく大変です。おそらく現在の彼は、人生を時計を逆回転させるようなものでやり直したい心境でしょう。人間必ずそのようなことは考えるでしょうが、今の彼は、私やあなたがそう考えるよりはるかに強くそう考えているでしょう。お話にもならないとはこのことです。


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