ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

JR東海からすると、葛西某に無役になってもらいお引き取り願うことは現状無理なんだろう

2020-05-31 00:00:00 | 社会時評

先日JR東日本の元社長・会長の松田昌士が亡くなりました。記事を。

>松田昌士氏が死去 JR東日本元社長

2020/5/25 12:37
 
JR東日本の元社長の松田昌士(まつだ・まさたけ)氏が5月19日午後1時58分、肝臓がんのため死去した。84歳だった。連絡先は同社総務・法務戦略部。お別れの会を行うが日取りなどは未定。

井手正敬氏(JR西日本元社長)や葛西敬之氏(JR東海名誉会長)とともに「国鉄改革3人組」と呼ばれ、国鉄の分割・民営化の立役者の一人となった。北海道出身。北大大学院を修了後、1961年に日本国有鉄道に入社。企画部門を中心に歩み、多額の長期債務で経営が行き詰まった国鉄の再建を担った。

87年4月に民営化で発足したJR東日本の常務に就任。93年に社長に昇格し、経営の効率化や省人化を進めた。商業施設など非鉄道事業も強化し、JR東の経営基盤を安定させた。政府が保有株を手放す完全民営化にも道筋をつけ、会長時代の2002年に実現した。

経営改革の手腕が評価され、小泉内閣による日本道路公団(当時)などの民営化のあり方を検討する第三者機関「道路関係四公団民営化推進委員会」の委員も務めた。08年11月、日本経済新聞に「私の履歴書」を連載した。

記事にもあるように、松田、井手正敬葛西某というのは、国鉄の分割民営化を成し遂げた3人衆みたいな扱いをされています。上の引用記事にもあるように、彼らは時の政権からも高く評価をされている(いた)わけですが、昨今JR北海道、JR四国、あるいはJR九州もそうですが、経営がまことによろしくない事態になっています。先日も別の記事でこの点は指摘しました。

レンタカーのハーツまでが経営破綻するとは、きわめて深刻な事態だ(タイ国際航空ほか航空会社ほかも)

そう考えると、国鉄の分割民営化なんてのは、仮に分割民営化するにしても、北海道、四国、九州を分離してしまっては、まったくもって経営が立ち行かなくなるのは目に見えていたんじゃないのと思います。しかしその措置の最高責任者だった中曽根康弘も昨年死んじゃったしね(苦笑)。どっちみち特にJR北海道、四国は、再国有化するかJR東日本、西日本と合併して経営統合するしか道はないのではないか。国鉄の分割民営化というのもひところはやたら称賛されましたが、組合つぶしという問題なども当然批判されるべきですが、経営という観点だけでもそんなに褒められたものではない。

それでですよ、JR東海の葛西某という人物は、いまだにJR東海取締役名誉会長なる肩書です(呆れ)。

あのー、国鉄がJRになったのが1987年で、それからすでに今年で33年です。葛西某は95年に社長です。彼がJR東海のオーナーであるならともかく、まあこういっちゃなんですが、かつての国営企業(公社)で今日でも高度の公益性を保ち、また現実に日本の大動脈である東海道新幹線を保有・管理・運行をしている企業のトップが、このように万年同一人物というのは変でしょ(苦笑)、いくらなんでも。今年彼は、80歳です。JR東海レベルの、しかもオーナー企業でない会社で、80歳になる年まで取締役の肩書がある例って、あんまりないんじゃないんですかね。いや、そうでもないのか? ふつうはさすがに「顧問」「相談役」ていどの肩書になり、取締役からは外れるんじゃないんですかね。

いや、さすがにJR東海でも、(若手)幹部の中には、「あの人迷惑だ」「いいかげん引退してほしい」という声もあるのでしょう。たぶん少なくはないのではないかと(勝手に)考えます。おそらくそう考える役員クラスもいるでしょう。

来月23日に葛西某は「取締役」の肩書が外れるとのことですから、そうすると実質はいざ知らず形式的にはほんとの名誉職になるんですかね。どうだかわかりませんが、葛西某は会社を退く意思がないようですから、彼は終身名誉会長なのでしょうね、おそらく。それもどうかです。

ちなみに先日亡くなった松田は1936年の早生まれで大学院を出て61年国鉄入社、93年にJR東日本社長就任、2000年に会長就任、退任が2006年です。井出が1935年生まれの59年国鉄入社、JR西日本社長就任が1992年、会長就任が97年、2003年の退任です。葛西某は、1940年生まれで63年国鉄入社、95年にJR東海社長就任、2004年に会長、14年に代表取締役名誉会長ですからね。松田が社長就任から会長退任が13年、井手が14年ですが、葛西某は社長から会長退任が19年、代表権のある副社長就任が90年ですから30年代表兼があったわけです。これはいくら何でも長すぎるでしょう。

余談ですが、上の3人の経歴を比較しても、葛西某は国鉄でも格の違うエリートだった感がありますね。もちろん東京大学の法学部出身で国鉄に入社した人間なんていくらでもいますが、やはり優秀さが際立っていたのでしょう。ところで前にこんな記事を書きました。2014年の記事です

現段階では現実性がない、またJR東海トップの安倍晋三との関係に注目したい

この記事でご紹介した米国のリニアモーターカーの話がその後どうなったのか当方知りませんが、そこでも指摘したようにこの話は明らかに安倍晋三と葛西某との密接な関係があればこそです。この計画は現実性の低い話ですが、日本のリニアモーターカーの件などもやはり葛西某のおかげで動いているという側面が大きいのでしょうから、JR東海としても彼にお引き取り願うというわけにはいかないんですかね? 行かないんでしょうが、たぶんですが葛西某が死ぬか認知症のたぐいとかで会社から名前がなくなったら、途端にJR東海内部あるいは近い筋から「あの人は老害だった」「もっと早く引退すべきだった」「過去の実績は認めるが、いくらなんでも長すぎた」といった声が飛ぶんでしょうね、きっと。個人的にはその日を楽しみにします(笑)。いまだって流れていないわけでもないでしょう。

安倍晋三もさすがに昨今いろいろ政治的にも忙しいことが多すぎて、ひところほどは葛西某ともつきあえないでしょうが、葛西某は、産経新聞の「正論大賞」なんてものすらももらっている(2013年)人物です。まともな人間なら産経新聞なんかとつきあったりしませんが、財界人でこんなものをもらった人間は、葛西某以外は現段階後にも先にもいません(受賞者の名簿をみたかぎりいないと思います。間違っていたらこのくだりは訂正します)。たいていの財界人は、こと中国に対しては友好的ナチ度を路しますが、葛西某はJR東海というドメスティックな大企業のトップですから、Wikipediaにも

>財界を代表する「親米保守」の論客である。

なんて書かれるくらいの態度もとれるわけです。現実には中国人だって大勢新幹線他を利用するし、新幹線の車両輸出や技術関係とかでもいろいろ中国と仲良くしておくことが会社の利益につながるわけですが、葛西某は会社の利益になっても中国とかかわりあいたくないんでしょうね、きっと。それもどうかです。昨今の中国の世界経済における存在の増大を考えれば、そのような態度は時代錯誤もはなはだしいとしか言いようがないでしょう。

葛西某も非常に優秀な人間なのでしょうが、それにしたってねえ、引き際を彼は間違えたんじゃないんですかね。世間一般でも、私のような彼に悪意のある人間でなくても、「あの人は長すぎる」という意見は多いはず。ご当人ン非常に権力欲が強く、また自分に自信もあるのでしょうが、それって最終的にはいろいろな面でマイナスになるかと思います。安倍晋三だって、現状自民党総裁3選になって自分の首相の任期をのばしたことがよかったとはとても言えないのが現状でしょう。葛西某からすれば(いくら彼が安倍と緊密な間柄とはいえ)「あんな馬鹿とおれを一緒にするな」というでしょうし、また確かにそれはそうでしょうが、おそらく葛西某がほんとにJR東海を去るときは、喜ぶ人間が少なくとも葛西某が想像するよりはずっと多いんじゃないんですかね。そしてそれは、「老害」といったことばかりでなく、必ずしも彼の能力や実績とは直接関係ない人間関係の部分でそうなるのではないか。

という記事を書いた後で、こんな記事を目にしました。

>リニア水問題 JR東海社長「27年開業難しく」
(2020/5/30 07:54)
 JR東海の金子慎社長は29日の定例記者会見で、リニア中央新幹線について「南アルプストンネルの静岡工区の準備工事が6月中に再開できないと2027年中の開業は難しくなる」と述べた。
 金子社長は開業の延期を避けるため、改めて川勝平太知事と早期に面会したい意向を示し「事情を直接説明して理解を得たい」と訴えた。6月中に工事再開できなかった場合、ただちに開業延期を発表するかとの記者の質問には「知事と会ってもいない段階での話は控えたい」と答えた。
 国土交通省の専門家会議での自身の発言については「関係の皆さまの不信を招くことになった。地元との信頼関係を大切に真摯(しんし)に対応し、問題解決が進むようにしたい」と謝罪し、撤回した。発言に抗議していた流域市町と利水関係者へも、川勝知事へと同様に謝罪、撤回する文書を送ると表明した。川勝知事は金子社長の対応を評価し、面会を前向きに検討する意向を示している。
 同社によると、準備工事はトンネル本体工事の前に行うヤード整備や、非常用トンネル、導水路トンネルの入り口付近の樹木伐採や整地を指す。地権者との約束で県の同意が必要になっているという。県の担当者は「再開する準備工事が何を指すのか、JR東海から直接説明を聞かないと具体的によく分からない」としている。県側はトンネル本体工事に直結する工事は現時点で認めない方針。

こういう状況だとやっぱり葛西某は「自分が頑張らなければ」と考えるし、JR東海内部でも「やっぱり葛西さんが頼りだ」なーんてことになるんでしょうねえ(苦笑)。

なおこの記事は、bogus-simotukareさんのこちらの記事からヒントをもらいました。感謝を申し上げます。


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2 コメント

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変化かずれているか (アンドリュー・バルトフェルド)
2023-03-30 21:03:24
東海がオタク層に訴求することを幾つかやっていました。
「桃太郎電鉄」のコラボと「ちいかわ」のコラボ駅弁は「まあ東日本とかはやっているかも」ですが。
沼津が舞台のアニメがあるのですが、それに出演している声優さんを一日駅長に招くというのが、意外でした。

葛西が亡くなったから足枷が取れた感がありますが、「それよりもさあ」という気持ちがあります。

リニアもどうかだし、多言語表記を積極的にやれというのは何度かお話しした通りです。
当然「ウェッジは滅ぼすべき」というのがあります。
いつか車内販売でウェッジだけ売れ残るのを見たいのですが。
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>アンドリュー・バルトフェルドさん (Bill McCreary)
2023-03-30 21:23:08
さすがに葛西も死んだので、少しは中国ともまともな関係を築くでしょうし、「Wedge」も続くかわかりませんが、やはり非常識に彼はJR東海に長く君臨していましたよね。まさに不徳な人生です。
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