拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

トロッコ

2024-01-14 10:09:53 | 日記

ブラタモリで宇奈月温泉を紹介してた。源泉は温泉郷から7キロ峡谷を奥にいったところにあり、管でお湯を引いてるって話、そうそう知ってましたよ、有名な「宇奈月温泉事件判決」ってのがありましたから。あらましはこう。その管が私有地をちょびっとかすめていたので、土地の所有者が「管をどけろ」って訴えを提起した。理屈的には所有権に基づく妨害排除請求で筋が通っている。でも、裁判所は訴えを退けた。管が通ることによる土地の所有者の損害はなし(人も入れないような峡谷だし)。対して、管をどけることによる温泉郷の損害は甚大。こういう場合の所有者の妨害排除請求は「権利の濫用」にあたる、というもの。そう、「権利の濫用」のところで習う判決なのよね。あらためて見てみたら、宇奈月温泉ができたのがおよそ100年前で、今でいう最高裁の判決が出たのがおよそ90年前だから、温泉ができてまもなく起きた事件だったのね。その「人も入れないような峡谷」に行く唯一の手段はトロッコで、もともと黒部ダムの工事の作業員用だったんだけど、黒部峡谷を是非見たいって人が多かったんで、作業員に「便乗」するカタチで一般客も乗せるようになったんだって。で、そのときの「便乗券」には「安全については一切保障しない」って書いてあったんだって。へー。ドイツの崩れそうなお城や砦には「auf eigener Gefahr」(自己責任)って書いてあるけど日本人は自己責任に慣れてなくてやたらに「行政が」って言って文句を言うから役所もすぐ立入禁止にしちゃうと思ってたけど、こんな風に「一切保証しない」なんて世界があったのねー。なんでも、今年中に、そのトロッコで観光客がダムまで行けるようになるらしい。

そんなわけで(どんなわけで、というと、宇奈月温泉事件判決を知ってたわけで)、あたし、前から、宇奈月温泉に行ってみたかったの。生きてる間行きたい温泉の3つの指に入る。あと2つのうち1つは道後温泉。漱石の「坊ちゃん」の影響。もう1つは、「まんだらや良太」って漫画があって、舞台が九州の温泉場の「九鬼谷」で、そこにも行ってみたいんだけど、「九鬼谷」は「架空」だって話。あら残念。温泉って言えば草津温泉が有名だけど、熱いんでしょ?あたし、猫舌ならぬ猫肌なんで熱いときくと尻込みしちゃう。でも群馬県にあるのよね。群馬は絶賛マイブーム中だからなぁ……

因みに、「トロッコ」って、あたし、作業場で、石とか入れて走らせる屋根のついてない車両で、傾斜を利用するから動力がついてないもんだと思ってた。芥川龍之介の「トロッコ」を読んだときにそんな印象を持ったから。だけど、黒部のトロッコは先頭に動力車(ディーゼル?)がついてて、屋根もついてて、街中の電車より小さいらしいけど決定的な違いがあるようには思えなかった。そうだ、インディ・ジョーンズの「魔宮の伝説」で洞窟の中を二台のトロッコでおっかけっこするシーンがあった。あれよ、あたしのトロッコに対して持ってたイメージは。