『森のなかの海 上巻』 宮本輝著 光文社文庫
物語は阪神大震災から始まります。
その時に主婦希美子は夫の不倫を知り身も心も突き落とされます。
知り合いの老婦人のカナ江の遺産を引き継ぐことになり、離婚して奥飛騨の山荘に息子2人と住み、たまたま観たテレビで震災にあった隣人の3姉妹も引き取ることになります。
そして、その姉妹をたよってきた7人の少女たちも引き取ることに・・・
世の中には、理不尽にも奈落の底に突き落とされることがあります。
それは震災であったり病気であったり裏切りであったり、突然やってきたりします。
この本を読んでいましたら、人の品格というものを考えさせられました。
政治や官僚の品格の無さ、チャップリンの言葉を借りるなら、日本には全ての人が爽やかな朝を迎えられるだけの富が充分にあるのに、それを分配しようとしていない。
みんな金の亡者だ。
そんな憤りが作者から聴こえてきます。
まだ上巻しか読んでいませんが、これからどうやって希望、光を作者は見い出していくのだろうか。
下巻へと続く・・・