港区まち創り研究会(まち研)ブログ

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世界の街から26 ベトナム ハノイ

2011-12-21 10:27:45 | ベトナムの街から
・喧騒と混乱と混沌のまち
 ハノイは、歴史がある古都であり、またベトナムの首都であるので、整然とした静かなまちをイメージしていたが、実はその反対であった。ベトナム戦争でインフラ・ストラクチャが徹底的に破壊されたところに、急ピッチに都市が発展した結果が喧騒と混乱と混沌のまちになってしまった。
 広域都市人口は600万人と言われている大都市である。それに対応する公共交通機関はほとんどなく、バイクと車の洪水で市街地中心部は常時渋滞している。
バイクの騒音、車のクラクションで、喧騒な街になっており、心の休まる時がない。バイクの排気ガスで空気は、スモッグでおおわれどんよりとして青空がまったく見えない。
中心地区のトイレも水が流れないものが多く、下水道の設備もまだ十分整備されていないようである。電線も電柱にとりあえず蜘蛛の巣状にはられている。

混沌とした市街地


・一般的な市街地の様子
市街地中心部には、大きな新しいビルが次々建設される一方、ベトナム独特の間口の狭いエレベータのない3~5階建の住宅と店舗の併用の小さな建物で街並みが形成されている。間口の狭いのは、税金が間口の広さによってかけられるからだそうだ。1階はたいてい商店になっているので、どの通りも同じように見えてしまう。最上階には、必ず広いテラスの部屋がある。家に風を通すためか、なにか使い方があるのだろう。
意外なことに、ほとんどの通りに街路樹があり、大きい街路樹は風格がある。フランス文化の影響があるのだろう。歩道は、バイクの駐車場や路上販売にスペースをとられて極めて歩きにくい。おしゃれな繁華街があるのはホアンキエム湖周辺など一部の地域に限られる。

一般的な市街地

一般的な住宅店舗併用建築

路上販売

てんびんの売り子

・官庁街とタンロン遺跡
ホーチミン廟周辺は道路が広く広場や公園があり、街の景観は一変する。観光施設や官公庁施設が集中している。東京の丸の内といったところである。この地区にある一柱寺は1本の柱の上に、仏堂があるユニークな建物である。
 旧市街にある世界遺産のタンロン遺跡を見学したが、あいにく金曜日のため一部しか見ることができなかったが、石積みや赤い瓦屋根のある建物は王朝の歴史を感じさせる。タンロン遺跡は11世紀ごろからベトナム王朝の城が築かれた場所である。現在、修復・復元が進められている。

道路は広く整然とした官庁街

ユニークな一柱寺

タンロン遺跡

タンロン遺跡

・変わりつつある都市構造
 交通渋滞がひどく、市街地内を少し移動するだけでも1時間~2時間もかかってしまう。そのため、市街地中心部から離れた位置に新都心が建設されているようだ。また、地下鉄や鉄道など公共交通機関の整備の計画が進められている。
市街地と農村との中間に大きな工業団地があり、日本をはじめ外国企業が立地している。また、また、市街地縁辺部には、大きな住宅団地が続々建設されている。
とにかく、都市のインフラ(公共交通機関、道路、公園、下水道など)の整備が遅れるとこんなひどい街になってしまうことを実感する。ハノイが住みよい街になるには、おそらく数十年かかるのではないかと思う。
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