澄み切った日の空は眩しくて、蒼というより深い藍色に見えることがある。その日もそんな空が広がっていて、トビが一羽、ピューヒュルルと鳴いて輪を画いていた。他に耳に触れる音といえば、微かな風のそよぎくらいだろうか。涼やかな空気の塊が足下から吹き上げて来て、そのまま私を通り抜けて行く。多武峰(とうのみね)山腹のテラス状の台地に座り、私は「まほろば」と称えられた大和の国見を続けているのである。
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