今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1137 厚木(神奈川県)首都圏の住みたいという厚木とは

2023-11-18 16:37:59 | 埼玉・神奈川
東京圏は「街」と言うには巨大すぎる。それはいくつもの大きな街の集合体であり、3000万人を超す人々が暮らす世界最大の人口集積地帯だ。そこに鉄道が、網の目のように張り巡らされている。そうした鉄路の一つ小田急線は、学生のころから頻繁に利用してきた私鉄だけれど、それは新宿から多摩川までのことで、その先についてはさっぱり土地鑑がない。だから首都圏で「住みたい街1位」に選ばれたと評判の「厚木」とはどんな街か、知らない。



もう少し詳しく言うと、厚木は「借りて住みたい街」で3年連続1位ということだ。「買って住みたい街」としては5位前後になるが、それでも上位である。利便性や不動産価格などが理由か。住宅情報誌などがこうしたランキングを盛んに発表しているけれど、どの程度信頼できるのか私は懐疑的だ。しかし他のサイトの「共働き子育てしやすい街」でも神奈川県1位であり、全国でも上位の常連らしいから、厚木の高い評価は確かな根拠があるらしい。



少し下調べをしておいたので、厚木駅ではなく本厚木駅で降りる。厚木駅は厚木市ではなく、隣の海老名市にあるからだ。なにやらややこしい話だが、厚木とくれば最も連想しがちな、連合軍総司令官のマッカーサーが日本の土を踏んだ「厚木飛行場」も綾瀬市と大和市にまたがって、厚木市からはもっと離れている。どうしてこんなことになったのか、はっきりしない部分もあるようだが、「厚木」が古くからこの地域を代表する地名であった故らしい。



本厚木駅から「あつぎ大通り」を中央公園まで歩く。公園には地名のややこしさを払拭するかのように、大きな「ATSUGI」のオブジェが設置してある。「こここそが本来の厚木だ」と言いたいのかもしれない。それにしても殺風景な公園だと広場を見晴らすと、道路を挟んで市役所が建つ。老朽化した市役所の新設計画があるようで、この公園も含めた新たな街づくりが模索されているらしい。人口22万の街が大きくリニューアルされるのだろう。



この街は東京のベッドタウンに含まれるのだろうが、昼夜間人口比率はむしろ高い。つまりこの街自体が市外から多くの通勤通学者を吸い寄せているのであって、それだけ企業などが集積しているということだ。その結果、市の財政は県内トップクラスの豊かさだそうで、産後ケア事業や預かり保育、住宅取得補助など、手厚い子育てサービスの実施を可能にしている。「住みたい」と考える子育て世代は、こうした施策を見極めているのだろう。



本厚木駅に降りると「大きな街だ」と驚く。そして帰宅する高校生の明るい笑顔に「良さそうな街だ」と感じる。ただ驚かされるのは、視界を混乱させる看板・文字の氾濫である。ビルの窓ガラスが色とりどりの広告で埋まり、駅前広場に絶叫が交錯している(実際は静かなのだが)かのようで、たじろぐ。駅前というのは、おおむね無節操に広告が氾濫しているものだが、そんな水準を凌駕している。町田駅でも驚かされた、小田急沿線文化なのだろうか。



駅近くの市中央図書館に立ち寄り、「アツギ」の地名由来を知ろうと郷土史コーナーで県央史談会厚木支部発行の『厚木地名考』を開く。相模川の水運で古くから木材の集積地となり、「木が集まる」地であったからとする説など、いくつか紹介されているものの、結論は「明らかでない」とのことだった。かつて相模平野北部の原を相模原と呼び、その南に広がる野を「厚木野」と呼んでいた時代が長くあった、というのは私の創作である。(2023.11.14)











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