おそらく戦前までのことであろうが、天草の食料事情を土地の人は「ネタクリカンチョにイワシのシャーレ」と表現したそうだ。これは「練った甘藷とイワシのおかず」のことだと、宮本常一編『島』で杉本尚雄という人が書いている。アマクサなる牧歌的な響きとは裏腹に、離島の暮らしは厳しいものだったのだろう。不知火の海を眺めているうちに、わずかでもその土を踏んでみようと思い立ち、天草五橋を渡って千巌山に登った。 . . . 本文を読む
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