九州の地図を眺めていて、人吉からまっすぐ北上する道の先に「五木」と「五家荘」があることを知った。子守唄と、平家の落人伝説が思い浮かぶ里である。私のイメージではいずれも秘境中の秘境のはずだ。訪ねてみたいけれど、無事に帰って来られるだろうかという思いも湧く。そこで五木村観光協会を探し、電話で問い合わせてみる。「普通の車で行けるでしょうか?」。対応に出た女性は「大丈夫ですよ」と言ってホッホと笑った。 . . . 本文を読む
夜通し驟雨が続いたのだなと思いつつ目が覚めた。肥後・人吉の朝である。本降りになったに違いないと窓を開けると、それは眼下の球磨川の瀬音なのだった。ホテル最上階の部屋まで届くほど、急流はせめぎ合い響いている。橋を行く人は傘を差しているものの雨脚は微かで、対岸の城跡は靄に包まれている。仲居さんは「大雨になると、その中洲も流れに埋まってしまいます」と事も無げに言ったけれど、それは恐ろしい光景であろう。 . . . 本文を読む