そういう時もままある

一年のうちでもっとも調子の良い月は大体五月頃で、気力的にも充溢した
感じになるのであるが、その逆がおそらく九月の今頃で、気力が萎える上に
とかく感傷的になりがちで、ネガティブな感情に心身を食われそうになる。

ちょっと気散じに散歩に出かけても、並ぶ家々が昔日と比して歯抜けに
なっている様に無常感を抱いたり、古本屋に出向いても、並ぶ本が昔日と
大差ないことに胸が痛くなったり、とにかく安定しない。
こういう時は理想とか正解とか、そういうより良いものを求めようとする
気持ちを休ませ、嘘でも間違いでも何でも良かろうという心地で、詰まる所
適当に事を済ませることで乗り切るのが良いように思われた。

一応ここまで、かかる時期にベストを尽くさなかったことで後悔するような
事態には陥っていないので、後に引かない程度に、構えずに行けばよいのである。