ゑの巣

ここでは管理人個人の日々の妄言、妄想、創作などを世に晒しています。ごゆるりと。

珍客

2020年06月02日 23時42分49秒 | Weblog
前に住んでいた家での環境によるものか、視界に動く適度な大きさの影に過敏に
反応してしまう。それが生き物でなくても、風に飛ばされる一叢の埃玉だったり、風に
揺られるカーテンの作る少しの影だったとしても、一瞬"あいつ"が居るのではないかと
身構えてしまうのだ。
今の家に住むようになって、そのほとんどが幸いにして取り越し苦労で済んでいるが、
先の夜に久々に当たりを引いてしまう。しかしそれは今までのあいつとはまるで異なるもので
あった。
影の正体は大体8㎝くらいのムカデで、ムカデの中では普通のサイズと思われるが、
山暮らしに慣れていない身空にとってはかなりレアなデカさで、しかもそれに屋内で遭遇
するのは初であるために、年甲斐もなく30秒ほどフリーズしてしまう。

Gの字であれば見敵即殺の心構えが出来ているのだが、そもそも仕留めて良いのか、
捕らえるのか、見逃すのか、捕えるとしてその方法は何なのかで、しばし逡巡し、色々と
伝え聞く『殺すと二匹目が現れる』『同衾して噛まれる』という懸念を鑑みて、何とかして
捕まえた後に遠くに逃がす、という作戦を立てるに至る。

戦い慣れたあいつと異なり、ムカデは至極行動が素直で、簡単に捕らえることが出来、
ついでにあまり暴れなかったため、その後の作戦はあっさりと進行し、無事安眠を
得ることが出来た。

ただもう一つの気がかりとして、以前に大きな地震があった日の前の夜、部屋に大きな
クモが現れたことを思い出し、同様の大型節足動物の出現が何かの前触れではなかろうか
という不安に駆られる。しかしそれは今ここで書いているように杞憂に終わったので、
今度こそ安眠できそうである。
コメント
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