P.49 回復期のリハビリに入る前に、スクリーニングと言われる
患者の状態や病状の確認が行われる。しかしK(ご主人の名前)は
認知機能と言語機能のテストを
「そんなこと、やってられるか」と拒否してしまった。
このプライドの高さも、Kのリハビリが遅々として進まなかった
理由かもしれない。
P.50 (中略)プライドが邪魔をしてリハビリスタッフ、特に
若いスタッフの言うことを聞こうとしない。
「アイツは生意気だ。何であんな若いヤツに教えてもらわなければ
ならないんだ」
社会復帰を目指す大切なリハビリ期間にその態度では、
回復が一歩も二歩も遅れるのは言うまでもない。
Kは頑なにその姿勢を崩さなかった。だから今も話すことに苦労している。
(中略)病に倒れた瞬間にプライドなんか早く捨てた方がいい。
P.51 そうすればリハビリはスムーズに進み、また以前と変わらずに
友達と話せるようになる。胸の内を聞いてもらえる。
それが自分自身と周りの心にどれだけの安らぎを与えるか。
Kの発音に苦しむ姿を見る度に思うことだ。
医師は、ある意味で「迷える羊たちを、安心な場所に導く羊飼い」のような
存在なのでしょう。患者から感謝され、取り上げた赤ちゃんや家族からも
長く感謝され続けることでしょう。
そんな立場から、若いスタッフの言うことに従って、<辛いリハビリ>に
取り組むことは、かなりの精神的苦痛を伴うことらしいのです。
でも、将来の復帰を考えれば、プライドを振り回すことの
損得勘定は、しっかりして貰わねばなりません。
この辺の励まし方、または現実を、お互いに知っていることが大事です。