蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

丹巌洞  福井市

2009-05-25 21:59:24 | 古民家、庭園
福井市は北ノ庄の城を築いた柴田氏に由来する街のようだが、勝家の悲劇の跡を消し去るように、徳川家支配となってから町の名前自体を替えてしまうという、近頃流行のひらがな名前の市名と似たようなレベルで考えられた地名のように感じられる。

福井市は武生や鯖江方面から北上する日野川と、勝山や永平寺から西へ向かう九頭竜川(名前からして推測できるが、洪水が多かったのだろう)が出会う地点よりも少し川上に造られた。
水運が便利な街の中を川が随所に走る街だが、南側には足羽山と呼ばれる丘陵が構える。この麓に造られたのが丹巌洞である。


丹巌洞は弘化3年(1846年)に福井藩医の山本瑞庵が建てた草庵で、松平春嶽、中根雪江、橋本左内、三岡八郎など多くの幕末の志士の密会の場となっていたという。




現在は格式の高い料亭となっているのだが、午前中に限りお願いすれば見学が可能である。


本館への敷石もなかなか風情があるが、




おそらく、なにより味わい深いのは苔庭に点在する離れでの少人数の宴席だろう。




いかにも水の良い場所の庭で、苔の中に配置された装置に遊びが光る。


料亭としては非常に硬派な、中国趣味豊富な池も懐深い感じがする。
今思えば、こんな中枢とでも言うべき福井を、よくもまあ旅の客が簡単に見られたものです。
この庭の存在を教えてくれたO氏と、土地勘のない者のために辛抱強く道案内までしてくれた若女将に本当に感謝です。