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またあしたね~土佐いく子の教育つれづれ〈11〉

2012年07月09日 | 土佐いく子の教育つれづれ

子どもは真実を見抜く  ――原発問題の授業から――

■9割の子が関心持つ

 子どもたちは今度の原発問題をどう感じ何を思い、どんな問題意識を持っているのでしょうか。東大阪の山口先生が、五年生の子どもたちと取り組んだという原発問題の授業に大変興味を持ちました。

 約9割の子が関心があると言い、8割以上の子が、この問題についてもっと知りたいと答えています。時代が突きつけたこの問題を授業に組んでいくことは、まさに学びに値する内容なのです。山口先生は、あわせて地震・津波問題も学習に組み入れました。

 子どもたちの問題意識をみてみましょう。

●原子力って何? 原発って何ですか
●なぜ原発事故は起きたのか
●放射能は、体にどんな害を及ぼすのか
●放射能は、他の生き物にも害があるのか
●今放射能はどこまで来ているのか。大阪は大丈夫なのか
●原発の仕組みを知りたい
●将来日本がどうなるか心配です
●福島原発の近くに住んでいる人は、いつ家に帰れるのか
●原発で汚染された町や村とかは、きちんときれいにできるのか。作業は進んでいるのか
●他の国は、原発をどうやってなくしたのか気になる
●節電しろと言うけど、なぜしなくてはならないのか

<山口先生の指導計画>
1.東日本大震災の被害の実態
 津波について知る
2.原発事故について
 地震・津波と福島原発被害は同じなのか
(ここが最も盛り上がったと言います)
3.原子力発電について知る
4.放射能、放射線ついて知る
5.放射線量の測定(実際に測定)
6.被ばくについて知る(内部被曝と外部被爆)
7.これからのエネルギー問題を考える
 これまでの学習のまとめ

<授業を受けての子どもたちの感想や意見>
〇東北より東京の方が放射能の値が高い、といとこから聞いたので、東北だけ出荷停止をしてもよくない。日本全国測定すべきだ。今電気は火力、水力でまかなわれている。今後節電の意識はうすれると思うからがんばらなきゃいけないけど、火力は二酸化炭素が出るし、水力はダムの建設にたくさんお金がかかるから、太陽のエネルギーを使うべきだ。今ソーラーパネルの値段が高いから、国は本当にいることにお金を使ってソーラーパネルを安くしたらいい。

〇私の意見は、原子力発電所は、早くなくすべきだと。なぜなら地震が起きたら爆発して、福島原発の近くが危ないといって避難しているっていうのも、そんな危ない目までして原発を動かしてほしいという人はなかなかいないと思います。また、食べ物にも影響があると思います。牛や豚などを売っている人も周りが汚染されて、いちいち調べなければなりません。外国では、日本の3・11を知り、実際に原発をやめた国があるっていうのを知り、風力や火力や太陽光など、いろいろな方法があって、原発が全てではないと思います。これから10年、20年後、私たちがどんな思いで生きていけるのか考えたいと思います。

〇「原発は安全だ」と言っているけど、私は全然安全じゃないとわかりました。なぜかというと空気中に見えないものだからです。福島の人は、今も大変な思いをしているのだなぁと思いました。

〇福井県で地震が起きたら、ここ大阪に被害が来るのだろうか。原発をずっと置いとくんですか。原発を停止したままでいいんではないですか。

 奇しくも「子どもの日」に全原発停止! 喜んだのもつかの間、再稼働を決定。政府は、この子どもたちの声に耳を傾けてほしい。子どもたちは真実を見抜くのです。

 今、教育に、科学の目で真実を見抜き、明日の日本を考える授業が求められています。

(とさ・いくこ 和歌山大学講師・大阪大学講師)

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