以下は昨日、大阪中之島公会堂で開かれた「民意をゆがめる比例定数削減ストップ! 1・28府民の集い」での森英樹さんの講演メモです。
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・国民に負担を求めるための「議員も身を削る覚悟」として定数削減を掲げた菅内閣。
・しかし昨秋、民主党政治改革推進本部総会で議論にならず事実上断念と報道され、その弱腰がマスメディアから猛抗議を受けた。今、マスコミでは議員定数削減は常識視され、あの寺島実郎さんまでも議員定数削減に賛成しているほど。
・衆議院は将来は比例区を廃止して、完全小選挙区制を目指しているのではないか。その上でゆくゆく参議院を廃止するように思える。
・なぜ、比例区の削減なのか? そこがはっきりしない。財政難なら政党助成金を仕分けるべきだが、そこには手を付けない。
・またメディアも言わないが、皇室関係費にも手を付けない。天皇が国民統合の象徴ならば、困窮する国民を象徴して、天皇自らが率先して身を削ればいいのではないか。
・議員定数削減には何らの道理もない。まだ細川内閣の時の「政治改革」の方が制度哲学があって、まともに見える。今の「無駄」「リストラ」論には哲学がない。そこには「無駄」論を受容する社会の意識がある。
・「政治改革」当時、その流れを打ち破るための本を若手憲法学者たちと出したが、全然売れなかった。国民が「政治改革・政治改革」と熱病のようになっていて細川内閣を支持していたから。
・始末が悪い今回の定数削減。その狙いは民意から離れても政策決定ができるようにすること。そのために国民の意見が反映されている比例区を削減するということ。
・この定数削減を批判するのは簡単だが、しかし世論が背景にある。
・「政治改革」以降に進行した「政治」の劣化、そして討論ではなく口論に堕した国会状況。
・日本の民主主義はテレビの影響を受けた観客民主主義。小選挙区選挙ではムードが大きな影響をあたえる。まともな討論や政策は影響しない。「民意」が捏造され、また民意自体も変造する。
・議員を「リストラ」という背景には、自分のことを考えてくれないという民意があるが、実はそれを反映するのが比例区選挙なのに、それを無くするということがどういうことなのか。
・そして削減されるのは民意ということになる。
・議員定数削減批判には、正義と公正の見地が必要。自分の支持政党が無くなるからということではなくて、民主主義が壊れるというのが、この問題の本質だ。
・以前、自民党支持者たちの集会で小選挙区制について「ちょっとしの得票で共産党政権が出来上がる」と話したら、「それはたいへんだ」ということになって、じゃあ小選挙区制反対ということになったことがあった。
・比例定数削減というのは、国民の切実な要求を汲み上げていくということが完全に出来なくなるということ。
・本当の民主主義とは何か。それを考えることが必要だ。
・事実をしっかり見つめて、世論を眺めるのではなく自分で考えていくこと。
・ポピュリズムでは暮らしはよくならない。
・世論(popular sentiment)を与論(public opinion)にかえていくことが大事。