西穂高山荘に着いたものの、周囲はガスで何も見えない。天気がよければ山荘の正面からは眼の前に霞沢岳が見え、西穂高方面には丸山に至るなだらかなハイマツの緑の絨毯が見通せるのだが仕方がない。玄関を入り受付に行き宿泊手続きを済ました。1泊2食付9000円を支払って朝ごはんは弁当にしてもらうように依頼、係りの人が部屋への通路を案内してくれた。大部屋なのでもちろん鍵はない。「今日は人数が多いので布団2枚に3人のスペースです」とおっしゃる。まあまあの込み具合か。とりあえず「焼岳3」という部屋に入り、№5と6の白い番号札の張られた壁板の前に敷かれていた布団に陣取った。番号札はもう一色、黄色いものもある。こっちのほうは間隔が少し狭く張られていて、布団1枚に2人という感じで数えてみると40人ぐらい詰め込めるように振られていた。
荷物を整理して喫茶・売店コーナー行き1本500円の缶ビールを飲みながら時間を潰す。夕食が5時からで7時には朝ごはんの弁当が渡され、消灯は9時。とにかく山の上のスケジュールは早目早目に進行するのだ。5時までまだたっぷりと時間がある。おまけにガスは全く晴れない。部屋に帰って布団に横になりながら本を読んだり眠ったりして時間を潰した。そのうち隣のスペースにこちらもご夫婦が陣取られたので、挨拶方々、山雑談をする。浜松からこられた方でこの日は西穂高に登ってこられ、次の日はここから焼岳経由で中尾温泉に下りるとのこと。かなりの時間がかかるコースなのだが、われわれよりも高齢のご夫婦、なかなかお元気なのだ。