ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

丸市 @岐阜県岐阜市 (5) (※閉店)

2016年09月23日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

8月末を以って閉店した岐阜市花沢町にある戦後すぐからの麺類食堂「丸市」。建物も戦前のものだという店の貴重な佇まいと風情は、これでもう味わうことが出来なくなってしまった。この店の存在に気付くのが遅すぎたが、僅かながらの期間でも、通って店の味と風情を楽しむことが出来たのは幸せだったと言えるかもしれない。永い間お疲れ様でした。

通って味わった料理を記録の為にいくつか紹介。ある夜に訪れて注文したのは「カツ丼(上)」。暖簾と回転灯(東海地方では店舗の営業中を知らせる回転灯が一般的です)が回っているのを確認して店の中へ。いつものようにカウンターに座り注文する。普段と変わらず粛々と調理は進む。揚げ音まで控えめ。テレビを眺めながら待ち、ザクッ、ザクッとカツを切る音がするのを片耳で確認すると、しばらくして丼ぶりが運ばれた。こちらはいわゆるオーソドックスなカツ煮玉子とじタイプのカツ丼。カツは硬めに揚げられている。歯で噛み切れるのは肉質が「上」だからだろうか。こちらでは珍しく、やや濃いめの味付けで、つゆは多め。大きめに刻まれた玉ねぎの食感も楽しみながら美味しくいただいた。(勘定は¥580)

別のある日には、欲張って「肉丼」と「カレーソバ」の2品を注文。まずは「肉丼」。細ネギとしっかり濃いめに色がついた薄切り牛肉が薄めのつゆで煮込まれて丼ぶりのご飯の上にのっている。脂身のある肉だが、少し硬く、味付けも正直あまり得意でない。この値段で肉質をどうこう言うもんではないが…。そして「カレーソバ」。てっきり日本そばが出てくるものと思いきや、ソバの麺は中華ソバでつかっているものと同じようだ。少しとろみのついたカレー餡はちょっとばかし塩っ辛い。総じて薄めの味付けのこの店でもこういう時があるんだね。正直言うと自分は熱くとろみがついた和風餡で食べる麺は苦手。残念ながらこれもやはり口には合わなかった。こういう日もあります。(勘定は¥970)

 

また別のある日、仕事で付近に来た時に、昼にはまだ早い午前10時頃に店の前を通ったら開いていたので、つい寄ってしまった。主人はちょうど食事中(申し訳なし)。メニューの中から「カツライス」を注文。洋食屋の「カツライス」は店によって、とんかつ定食のように出すところ、あくまでも洋食としてライスは平皿で出すところ、といろいろ。ソースもデミを使ったり、中濃ソースだったり。こちらは括りとしては洋食になっているが…、目の前に置かれたのは何と、味噌カツ。しっかりめに揚がったカツにとろみの強い味噌だれがかかっている。控え目なたれの量がこの店らしい。ご飯は丼ぶりに入っていて、つけ合わせは、マヨネーズのかかったサラダ。千切りキャベツ、レタス、きゅうり、ハムなどが入っている。それにたくあん。味噌はこの地方ではクラシックな、とろみも甘みも強いもの。味噌汁こそついていないものの、やっぱりこれは味噌カツ定食の範疇だな。(勘定は¥580)

もういただくことは出来なくなった他の品々は、また別の機会に。

※8月末を以って閉店されました

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丸市(丸市食堂)

岐阜県岐阜市花沢町3-25

 

( 岐阜市 ぎふ まるいち まるいち食堂 洋食 麺類食堂 大衆食堂 戦前 戦後 洋食 カツ丼 かつ丼 カレーそば カレー蕎麦 天ぷら中華 閉店 廃業 )

コメント (2)
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