ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Totally Stripped / The Rolling Stones (4DVD+CD)

2016年09月28日 | DVD

 

Totally Stripped / The Rolling Stones (4DVD+CD) (2016)

今年の3月頃にアナウンスされたローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の1995年のアルバム「Stripped」(写真下)の拡大版。なんと新たに編集されたライヴCDと、ドキュメンタリーDVD、元の素材であったアムステルダム、パリ、ロンドンでのライヴ映像DVD3枚(それぞれ完全版!)という涎の出そうな恐ろしい内容。こういうのが欲しかったー。様々な販売形態があって迷ったが、この3回分のライヴ映像を見るためには、日本盤では数曲のボーナスCDとTシャツを抱き合わせて高値での販売という手法だったので、何とかそれを避けようと探していたらamazon UKに、LPサイズの写真集と1CD+4DVDというもってこいのセットがあったので注文した。確かにドキュメンタリーでの字幕や、毎回渾身の寺田正典氏のライナーノーツには後ろ髪を引かれる思いだったが、背に腹は代えられぬ、というか極力無駄は省きたい。Tシャツとか要らないしネ(ちなみに自分はこういう限定品のTシャツはすぐ着てしまう派)。

オリジナル・アルバム(写真下左)は当時さほど評価が高くなかったと記憶するが、自分は大好きなアルバムだった。スタジオ録音とライヴ音源のミックスで、アコースティックな演奏と一発録りを多用し、昔の曲を多く取り上げていたので、遅ればせながらストーンズ版の変則的”アンプラグド”企画と言っていい。ちなみに元々MTVアンプラグドの企画の発端は”ストーンズにアコースティック演奏をさせてみたい”というものだったという話を、カズ宇都宮氏(Virgin Americaや、Epic Americaの元COO)のインタヴューで読んだことがある。大願成就。

それはさておき、1994年のVoodoo Lounge Tour(ちなみに自分のストーンズ・ライヴ初体験は日本公演後のオーストラリア・シドニー公演)の頃のストーンズは創作意欲、活動意欲がとても旺盛で、来日時も東芝EMIの赤坂溜池スタジオで一発録り録音を試みたり、その後もポルトガルで同様の試みを行って、先述のオランダ、フランス、イギリスでのライヴ収録、それがアルバム「Stripped」として結実した。その他にも自分が覚えているだけで、ツアー初日の映像をすぐに作品化してツアー物販で販売したり(写真下1)、初めてコンサート全曲を収録した作品「Voodoo Lounge In Japan」(写真下2・このLDどうしたもんか…DVDで再発希望)を作ったり、今となっては微笑ましくも懐かしいCD-ROMで「Voodoo Lounge CDROM」(写真下3)というインタラクティヴ作品を作ったり、「pay-per-view」を実施して、ゲストが豪華なそのライヴ映像「Voodoo Lounge Live」(写真下4)を発表したり、と新企画ラッシュ。この他にも現在では珍しくもないが、シングル・カットされた作品には様々なリミックス・ヴァージョンやインタラクティヴ映像を付け足したりと、当時は(特に彼らのようなベテラン・バンドでは珍しく)考えられるメディア戦略を総動員して、次々と新しいことにチャレンジ。やる気がみなぎっていた(きっとこの辺りのこと、ライナーで詳しく触れられているんだろうナ)。

   

そして満を持して、その「Stripped」の元素材ともいえるこの作品。まず目玉のDVD3公演。やる気満々の彼らの、パラディソ(1,500人収容)、オリンピア(2,000人収容)、ブリクストン(5,000人収容)という有名な小劇場でのライヴが3つも完全収録されて映像で見られるなんて、もう最高に決まっている。現地で見たら卒倒していただろうが、こうやってDVDで見ても感激の連続。照明の暗さが小さいハコでの臨場感を煽る。ストーンズはこの頃から積極的にレア曲を織り交ぜて演るようになったが、この3公演はそのハシリとも言え、「えーっ?」とビックリするような初演奏曲(当時)を織り交ぜての気合いの入った演奏を見せている(注・昔からストーンズは撮影カメラが入ると演奏の出来が数段違うと言われております・笑)。ミック(Mick Jagger)は正直かっこ悪かった初来日時(1990)と比較して髪も伸びて、服装センスもグッと良くなり、過去一番カッコイイ(当時:自分比)。逆にキース(Keith Richards)はこの頃から服装のセンスが迷走(笑)。何にしろ、見どころはいっぱいだ。終始リラックスした中にも気合いが入った演奏で、ライヴ・バンドとしての矜持を見せている。

次はCD。新たに編集して、「Stripped」とは違ってライヴ音源だけで編集してあるので、新たなライヴ・アルバムとしても成立。かつては徹底的に編集で手直しをする事で有名だったミック(Mick Jagger)だが、近年アーカイヴの整理が始まってからここ最近は、その病的な執着心はどこかへ行ってしまったようで、演奏の怪しい部分も含めてラフなまま収録。生々しさがあって面白い。逆にこれは手直ししてくれよっていうのも収録されていて、あるまじき”おっと失敗、もう一回やり直し”まで収録…(苦笑)。ドキュメンタリーDVDは、そのむかし衛星放送で「Stripped TV Show」として放映されたものの再編集版。あの頃VHSテープで録画したものを繰り返し何度も見た記憶が甦るが、尺も長くなり、カメラ割りもかなり違っているそう。写真集は大判なのがいい。写真としては目新しいものは無く、無難な作り。ディスクはこの写真集の見開きに収納されている。以上のように内容充実。このデラックス・セット、過去のどのアーカイヴ作品より楽しめた。

いつもこれで終わりかもという話題が上るストーンズ。まさかこの頃から更に20年以上ライヴをやり続けるとは想像出来なかったが、もうすでにメンバーは超人と化しているので、醜態を晒してでも、行ける所まで行って欲しい。

UK amazonにて購入(¥6,824)

  • Format:DVD-Video, NTSC
  • Language: English
  • Subtitles: German, English, French, Spanish, Portuguese, Portuguese Brazilian
  • Region: Region 2 
  • Aspect Ratio: 4:3 - 1.33:1
  • Number of discs: 5
  • Classification: Exempt
  • Studio: Eagle Rock

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする