ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

丸市 @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2016年06月21日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

食べ歩きをしていても、最近ではネット上に情報が氾濫しているので、全く情報なしの店に当たることはほとんどない。特に自分のように歴史ある店を中心に選択していると、既に店が存在していない場合も多いので、たいてい存続の下調べくらいはしていく。それでもギリギリアウト(廃業済み)だった事は何回もある。そんな状況なので、某ログやネット上のブログをはじめ、情報が載っていない店に飛び込むことは皆無に近い状況だが、情報無しに、たまたまエイヤッと入った店が自分の好みにピッタリだった時は踊り出しそうになる(以前はそれが普通だったんだけれど)。こちらの店、岐阜市花沢町の「丸市(丸市食堂)」は古くからの住宅街の中にあり、近くまで行ったことはあっても、店の存在さえ知らなかった。たまたま近代建築の匂いがしたので路地を車でウロウロしていたら、とてもいい感じの建物があり、その隣に暖簾が出ていたお店だ。場所が場所なのでよそ者を寄せ付けない店だったら嫌だなと店前でスマホを操るも、全く情報が出てこない。「今どきそんな店があるのかァ…」と、思い切って、シンプルに「麺類」とだけ染められた清々しい暖簾をくぐった。

意外にも(失礼)先客が2名。カウンターと土間にテーブル席がある。カウンターの上にはプラスチック製の板にメニューが筆字で書かれていて、洋食がメニューの筆頭。「おぉっ」と期待が膨らみ、値付けを見るとどれも安い。値段が値段だけにどんなのが出てくるのか想像もつかなかったが「オムライス」を注文した。店は老夫婦でまかなっていて、調理場を見ると鋳物コンロの上に昔ながらの木の蓋の羽釜があったりと期待が膨らむ一方。その佇まいは東京名古屋で何軒も経験した戦前からの洋食屋のような雰囲気もある(もちろんこちらは戦後だとは思うが※)。カウンターにも紙のメニューが貼り出してあり、洋食の他にも定番の麺類食堂メニューには「志のだ丼」や「中華そば」の文字も。しかも「モーニング」と称して9時から朝定食も提供しているらしい。すごいすごい。

思いのほか静かに調理が進み、しばらくして「オムライス」が紙ナプキンとスプーンと共に運ばれた。こちらの厨房、お2人の連携作業だが、ガチャガチャと無駄な音がほとんどしないその手際にもシビれる。薄焼きの玉子でしっかりと包まれたオムライスはきれいな紡錘形で平皿の上にのっている。つけ合わせは赤い福神漬。上からかかったケチャップは少なめ。その姿でもう味は保証されたようなもの。期待を胸にスプーンを入れると中はケチャップライス。控えめなやさしい味付けで何とも旨い。こんな場所で、こんな値段で、こんなにいい塩梅のクラシックなオムライスがいただけるとは!…大満足。これは通わねば。(勘定は¥500)

この後の記事はこちら (2)(3)(4)(5)(6

 


 

↓ 「丸市」の隣にある件(くだん)の洋風建築(個人宅・詳細不明)。車で走っていて見つけたので、この建物については全然知らなかったが、素晴らしい”らしさ”が残っている。

 

↓ 明らかにここが以前の玄関口だったろう。医院か何かだったのだろうか。今は塞いでしまってあり、建物脇に裏の母屋へと通じる門がある。(※)

 


 

丸市(丸市食堂)

岐阜県岐阜市花沢町3-25

※平成28年8月末を以って閉店されました

 

( 岐阜市 ぎふ まるいち まるいち食堂 洋食 麺類食堂 大衆食堂 中華そば 天ぷら中華 ラーメン 丼ぶり 近代建築 ) 


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