ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

松竹特別歌舞伎「中村獅童のHOW TO かぶき」「鞘當」「供奴」「橋弁慶」 @愛知県丹羽郡扶桑町・扶桑文化会館

2024年07月15日 | 歌舞伎・文楽

松竹特別歌舞伎「中村獅童のHOW TO かぶき」「鞘當」「供奴」「橋弁慶」 (7月11日・扶桑文化会館)

↓ まだ巡業中の公演に付き、諸々を知りたくない方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↓ 本当に大丈夫ですか?

 

 

 

 

 

 

 

 


久しぶりに妻と一緒に歌舞伎観劇。今回の巡業公演は愛知県扶桑町の「扶桑文化会館」。こちらは元々こうした古典芸能に力を入れている会館だし、客席が舞台に近く臨場感があるので楽しみ。しかも最近花道が常設になったという珍しい会場で完売御礼だったそう。故あって妻はこの会場の楽屋から何から隅々まで知っているが、客席に座ってみるのは久しぶりだとのこと。

まずは獅童による「HOW TO かぶき」。以前にも同様の企画を観たことがあるが、やはり地方を回る時にはこういう裾野を拡げる企画が継続的に必要なんだろう。この会館は初めてという獅童も常設の花道に感心している様子。今回は付け打ちの披露の際に特別に次男の夏幹(3歳)が登場して可愛らしい見栄を披露した。獅童は歳をとってからの子供にメロメロという感じ。次の幕の「鞘當」に登場する3人の化粧から、衣装を着てカツラを被って整うまでを舞台上のカメラで寄ってモニターに映しながらの説明。気さくに客席からの質問も受け、和気あいあいと進んでいく。司会者無しでもこなす獅童はこういうのが上手いなァ。

「鞘當(さやあて)」はタイプの違う2人の立役が吉原で喧嘩を始め、それを女形が止めるというだけの場面ではあるが、交互に台詞を言い合う「渡り台詞」が特徴。歌舞伎でお馴染みの吉原の場面は桜が満開で店(たな)が並び、ぱっと華やかで一番アガる舞台かも。本来は主役級の役者が演じる顔見世的な演目らしいが、立役の國矢、獅一、女形の蝶紫の3人とも堂々とした口跡でかっこよかった。

幕間の後、同じ舞台を使った「供奴(ともやっこ)」は種之助による1人舞踊。ユーモラスな風体と踊りだが、体幹が強くなければとても務まらないだろうハードな振付。それを長唄とシンクロしながら飄々とした表情で踊り切るので感心してしまう。あれヘトヘトになるだろうなァ。妻もこの舞踊にとても感心して気に入った様子だった。

「橋弁慶」は五条橋での弁慶と牛若丸の出会いの有名な場面。でも歌舞伎では牛若の方が人切りで巷で悪い評判が立っているという設定。花道をひょこひょこと歩いてくるのは長男の陽喜(6歳)。孫やひ孫を見るような年齢の観客から歓声が上がる。もう顔が父親そっくり(笑)。花道の揚幕はもうちょっとしっかりチャリーンと音をさせた方がいいような気がする。後から入って来た獅童の弁慶はさすがの迫力。体躯の差が大きな2人の絡みがある舞踊は幼過ぎる牛若丸の刀が小刀に見えてちょっとユーモラスではあるが、振付は堂々としたもの。弁慶が上手く体を入れ替えつつ2人で見栄を切る。こうして小さい頃から役を付けて舞台に立たせる歌舞伎界ならではの特殊な境遇を受け入れて役者として育っていくんだなァと思うとしみじみと感慨深い。最後は歌舞伎公演には珍しく、親子揃ってのカーテンコールもあって楽しめた。

 


 

一、中村獅童のHOW TO かぶき

二、其俤対編笠 「鞘當(さやあて)」

 名古屋山三   澤村國矢
 不破伴左衛門  中村獅一
 茶屋女房お蝶  中村蝶紫


三、供奴(ともやっこ)

 奴又平  中村種之助

四、橋弁慶(はしべんけい)

 武蔵坊弁慶  中村獅童
 牛若丸    中村陽喜


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