先日、岐阜市の柳ヶ瀬商店をブラブラと散歩。昼はどこにしようかななんて考えて歩くが、あちらこちらの店舗の様子が変わっているのが目に付く。コロナ禍に物価高が重なって、商売の行く末を案じて店を畳むところも多いようだ。神田町通りにある創業大正3年(1914)の「武蔵野本店」の前を通った時、ふとガラスショーケースの端にひっそりと貼り出された紙に目が留まる。何とこの年末12月31日を以って閉店するとのお知らせが…。最近は厨房に若い方(息子さん?)の姿も見えてヨシヨシと思っていた矢先なのに。お知らせには”昨今の原材料の高騰など”と書かれていた。108年もの歴史がある店なのに。ショック…。
もちろん昼はこちらでいただくことに。暖簾をくぐったのはちょっと遅い時間だったがまだギリギリ大丈夫だった。土間の奥の2人用テーブル席に腰掛け、品書きを眺める。「かき釜飯」が始まっているが、これから釜飯を頼むのは申し訳ない(時間がかかるので)。もう年末までに来られるか分からないので、自分の知る限りもうこちらでしかいただくことが出来ない「だるまセット」を「中華そば」でお願いして「御酒」も”ひや”でつけてもらうことに。まず徳利とグラスの酒が来た。グラスに注いでグイッとやる。しばらくして愛らしい容器の「だるまセット」が登場。普段は店内でスマホは取り出さないが、最後になるかもと写真を撮らせてもらった(写真下)。
ダルマの蓋を取ると上の段は弁当に、下の段は汁物の鉢になっている。小皿には揚げ物用のソースが注がれている。そういえばこちらで中華そばを食べるのは初めてかも。本当なら熱い麺を先にやっつけるところだが、酒があるので弁当のおかずをつまみに杯を重ねる。内容はエビフライ、イカフライ、玉子焼き、カマボコ、里芋の煮たの、牛肉の煮たの、シューマイ、酢の物、お浸しと盛り沢山。ごま塩のご飯は少なめに盛ってもらっている。ささっとおかずを肴に酒を飲み干し、中華そばに移行。チャーシューが2枚、メンマ、カマボコ、刻みネギがのっている。すっきりとシンプルな醤油スープでするすると啜れるいい塩梅のもの。しかし下の段でセットになっている中華そばといっても麺量はたっぷりで、啜っても啜っても麺が減っていかない感じ。これしっかりと1人前(以上?)入っているだろう。木製の匙でスープも味わいつつ、お腹いっぱいになって箸を置いた。常連でもない自分が女将さんらに掛ける言葉は無いが、何度も楽しませてもらった歴史ある店。願わくば大晦日までにもう一度ぐらい寄ってみたいなと思っていたが、SNS上に閉店の情報が出回り始めたので混むだろうから無理だろうな…。(勘定は¥1,370)
生そば・釜めし 武蔵野本店
岐阜県岐阜市神田町3-12-2
※令和4年12月31日を以って閉店されました
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