ーパッションーPASSION
2012年 フランス/ドイツ 101分
ブライアン・デ・パルマ監督 レイチェル・マクアダムス(クリスティーン)ノオミ・ラパス(イザベル)カロリーネ・ヘルフルト(ダニ)ポール・アンダーソン[俳優](ダーク)
【解説】
キャリアや異性をめぐる女と女のいさかいを、『リダクテッド真実の価値』などのブライアン・デ・パルマがエロチックに描くサスペンススリラー。フランスのアラン・コルノー監督作品を、『きみに読む物語』などのレイチェル・マクアダムスと『ミレニアム』シリーズなどのノオミ・ラパスを迎えてリメイク。狡猾(こうかつ)な上司をレイチェルが、彼女に手柄を取られ、リベンジを誓うアシスタントをノオミが演じる。デ・パルマ監督の大胆で個性的な演出で描かれる、女同士の危険なバトルから目が離せない。
【あらすじ】
自らの地位を広告会社の重役まで押し上げた、野心的な女性クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)。アシスタントのイザベル(ノオミ・ラパス)は、そんなクリスティーンを羨望(せんぼう)のまなざしで見つめていた。しかし、狡猾(こうかつ)なクリスティーンにアイデアを横取りされ、恋人にも裏切られてしまったイザベルは、クリスティーンへの殺意を抱くようになり……。(シネマトゥデイ)
【感想】
ブライアン・デ・パルマ監督、「ブラック・ダリア」(2006年)以来ののサスペンススリラー。
フランスのアラン・コルノー監督作品のリメイクだそうです。
中心人物は4人。
クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)、大手広告代理店の重役でドイツ支店長。
イザベル(ノオミ・ラパス)、クリスティーンの右腕。
ダニ(カロリーネ・ヘルフルト)、イザベルのアシスタント。
ダーク(ポール・アンダーソン)、クリスティーンの部下で愛人。
クリスティーンを頂点に、上司と部下という支配関係にあります。
その中で繰り広げられる、野心と嫉妬がうずまく愛憎劇でした。
こんなシーンはあるけど、愛はないかも…。
完璧なインテリアに囲まれたクリスティーンの自宅で、パナソニックのスマートフォンのCMを批判しながら見ているクリスティーンとイザベル。
お互いにその才能を誉め合っている。
そこへ、同じ会社のダークがやってくる。
イザベルは遠慮して帰ろうとする。
玄関へ急ぐイザベルをクリスティーンは呼び止め、自分がかけていたストールをイザベルにプレゼントする。
その夜中、仕事をしながら眠ってしまったイザベルは、夢の中でアイデアを思いつき、真夜中にも関わらず、自分のアシスタントのダニを起こして、思いついたアイデアを映像にする。
クリスティーンは、ロンドンに会議で出張する予定だったが、遊び仲間からの電話に、出張はイザベルに任してしまった。
イザベルは思いついたアイデアを持ってロンドンへ。
会議でそのアイデアは認められ、採用されることになった。
ところが、クリスティーンはそのアイデアは自分のものだと上司に報告、しかも修正して作り直すと言う。
そして、クリスティーンはニュウヨーク本社への復帰を取り付けた。
ダニは怒るが、イザベルは「チームの勝利だ」と諌める。
しかし、クリスティーンがイザベルを「操り人形」と電話で友達に話しているのを聞き、イザベルは自分の作品をネットに流す。
そのアクセスが驚異的な数字をたたき出し、本社からもイザベルの実力を直接認められることとなった。
クリスティーンのニューヨーク転勤もなくなり、そこから、クリスティーンのあからさまなイジメが始まった。
☆ネタバレ
クリスティーンの欲望も、イザベルの復讐心も、すべて出世欲から出ていて、ダークはお添え物で、ほとんど意味がありません。
ダークの不正さえも二人は利用し、自分の有利になるかどうかということしか、興味はないみたいでした。
最終的にはダニの野心も絡んできて、二転三転して、ラストは「???」の幕切れでした。
これは夢オチなの?
クリスティーンの双子の姉って、実在しているの?
イザベルの妄想なの?
まあ、犯罪のネタが仕込まれた映像は刑事の携帯に送信されて、犯罪は暴かれるのでしょうが、これもデ・パルマ流?
すっきりとは帰してくれないようです。
2画面分割で描かれるバレエ「牧神の午後」は素晴らしく官能的でした。
そちらにうっとりしていたら、残酷な殺人シーン。
デスマスクのような仮面とか、監督の仕掛けはあちこちにあるね。
レイチェル・マクアダムスは「きみに読む物語」で有名ですが、最近は役の幅も広げて、今回は全く同情の余地のない悪女ぶりでした。
金髪で、ゴージャスな衣装、素敵な悪女でした。
イザベル役のノオミ・ラパスは、言わずとしれたリスベット(スウェーデン版「ドラゴン・タトゥーの女」)女優ですが、今回は自分を抑えてイジメに耐える役所。
黒い髪、黒づくめの衣装、勤勉で真面目な実力派。
こういう人間が起こると怖いよー、というところはよく現れていました。
赤毛のダニは、上司に尽くす部下という仮面の下には、ゲイでしたたかな野心と欲望が隠れていました。
これほど女性が存在感を持っているサスペンスも少ないでしょう。
女性が強くなったということでしょうね。
女性にとっては、喜ばしいことかもしれませんね。
女は怖いよ。
お気をつけあそばせ。
こっちはWOWOWで見たのよ。
これは夢オチじゃあなかったよ。それに、最後は勝利を収めたはずのイザベルが、彼女の計画を見破った部下に弱みを握られるっていう・・・・
これ、結構面白かった。
パッションは単館系だから、見に行けるかな~~^^;
でも、妄想はあるかも。
オリジナルも見たいと思います。