ーランナウェイ/逃亡者ーTHE COMPANY YOU KEEP
2012年 アメリカ 122分
ロバート・レッドフォード監督 ロバート・レッドフォード(ジム・グラント/ニック・スローン)シャイア・ラブーフ(ベン・シェパード)ジュリー・クリスティ(ミミ・ルーリー)サム・エリオット(マック・マクロード)ジャッキー・エヴァンコ(イザベル・グラント)ブレンダン・グリーソン(ヘンリー・オズボーン)テレンス・ハワード(コーネリアス捜査官)リチャード・ジェンキンス(ジェド・ルイス)アナ・ケンドリック(ダイアナ)ブリット・マーリング(レベッカ・オズボーン)スタンリー・トゥッチ(レイ・フラー)ニック・ノルティ(ドナル・フィッツジェラルド)クリス・クーパー(ダニエル・スローン)スーザン・サランドン(シャロン・ソラーズ)
【解説】
俳優や監督として、オスカー受賞作『普通の人々』など数々の名作に携わってきたロバート・レッドフォードが監督、主演を務めた社会派サスペンス。反体制活動を展開した実在の過激派組織を題材に、素性を隠して30年間暮らしてきた元幹部が、当時の仲間の逮捕によりFBIと記者から追われるさまを描く。若手記者を『トランスフォーマー』シリーズのシャイア・ラブーフが熱演するほか、スーザン・サランドン、リチャード・ジェンキンス、クリス・クーパーら豪華共演陣が物語を盛り上げる。
【あらすじ】
1969年、ベトナム戦争反対を世に訴えるために連続爆破事件を起こした過激派組織ウェザーマンはFBIの最重要指名手配リストに記載された後、突如消息を絶つ。30年後、元メンバーの一人(スーザン・サランドン)が警察に捕まる。再び話題を呼んでいる事件を調査する新聞記者のベン(シャイア・ラブーフ)は、一見真面目そうな雰囲気のシングルファーザーの弁護士ジム・グラント(ロバート・レッドフォード)にたどり着く。(シネマトゥデイ)
【感想】
私は学生運動に遅れて来た世代だと思っています。
あんなに盛り上がっていた運動が、日航機乗っ取りや浅間山荘事件、さらにはリンチ事件へと、どんどん凶悪化していって反社会的になっていって、終焉を迎えます。
掲げた理想は若者らしい正義感から始まったと信じていたのに、なぜこんなことになってしまったのだろう。
挫折感と、失望感はいまでも心の奥底に空虚な穴となって残っているような気がしていました。
そして、当時何も行動できなかった自分への劣等感と。
反戦運動の本場、アメリカでも同じような流れをたどっていたのですね。
運動の凶悪化、銀行襲撃から、警備員を殺害、逃亡、指名手配…。
☆ネタバレ
その事件から30年後、指名手配犯の一人、シャロン・ソラーズ(スーザン・サランドン)が当時の友人に電話した。
「自首しようと思う」
その電話を盗聴したFBIは、シャロンが自首する前に逮捕した。
それはFBIの意地だった。
しかし、シャロンは黙秘し、仲間の消息は言わない。
同じ指名手配犯で、今はジム・クラントという名前で人権派の弁護士をしているニック・スローンのところにシャロンの弁護の依頼が来たが、ニックは断り、娘を弟(クリス・クーパー)に預けて逃亡した。
自分の無実を晴らすため、やはり指名手配犯であるミミ・ルーリー(ジュリー・クリスティ)の居所を探す旅に出たのだ。
仲間たちは口は堅いが、かつての絆で結ばれていた。
ニックが探していることはミミの耳にも入り、話し合うために二人は接触する。
二人には、二人だけの秘密があった。
ニックを別ルートで追いかけるのが地方紙の記者ベン・シェパード(シャイア・ラブーフ)。
シャロンのインタビューや、ニックの人柄に触れるうちに、人殺しの極悪人とされてきた犯人たちには、当時突き動かされた戦争を憎むという正義感があり、今は仮染めにしても市民としての生活があることを知る。
私が時代に間に合って、学生運動のまっただ中にいたら、どうしたんだろう。
行動したんだろうか。
過激になって行ったんだろうか。
考えさせられました。
そして、ニックとミミの娘が、残された人の手によって美しく聡明に育っていたことも感動的でした。
ロバート・レッドフォードの最近の作品、「大いなる陰謀」「声をかくす人」、アメリカの良心という感じで、気に入っています。
この作品にもスーザン・サランドン、クリス・クーパー、ニック・ノルティ、サム・エリオットといった面々が登場することを思うと、レッドフォードの活動が広く支持されているんだなあと、すごく嬉しく感じました。
人はイデオロギーで生きているわけではない。
やはり、地域とか、家族とかそういう多くの人に支えられて生きて、生かされているんだなあって。
若い時にはわからなかったことが、今ここへきてとても共感できる作品でした。
見てください!!