ーショパン愛と悲しみの旋律ーCHOPIN. PRAGNIENIE MILOSCI/CHOPIN: DESIRE FOR LOVE
2002年 ポーランド
イェジ・アントチャク監督 ピョートル・アダムチク(フリデリック・ショパン)ダヌタ・ステンカ(ジョルジュ・サンド)ボジェナ・スタフーラ(ソランジュ・サンド)アダム・ヴォロノヴィチ(モーリス・サンド)
【解説】
数々の名曲を生み出し、今もなお世界中で愛される天才作曲家フレデリック・ショパンの運命と愛に翻弄(ほんろう)された半生を描いた伝記ドラマ。祖国ポーランドを離れ、長期にわたって病に苦しみながらも美しい至高の音楽を生み出し続けたショパンと、恋多き女として名をはせたジョルジュ・サンドとの運命的な愛を紡ぐ。世界的チェリスト、ヨーヨー・マ、『戦場のピアニスト』の演奏で知られるヤーヌシュ・オレイニチャクら豪華アーティストが奏でる名曲の数々が全編を彩る。
【あらすじ】
祖国ポーランドを逃れ、たどり着いたパリでは作曲家として認められず失意の底にいたショパン(ピョートル・アダムチク)は、女流作家ジョルジュ・サンド(ダヌタ・ステンカ)と出会う。彼女の情熱にのまれるように愛が始まり、ショパンは次々と名曲を生み出していく。しかし、サンドの子どもたちはショパンとの愛にのめりこむ母を快く思っておらず……。(シネマトゥデイ)
【感想】
ショパンの作曲したピアノの名曲の数々、でも、その生涯については「ジョルジュ・サンド」との恋の逃避行くらいしか知らなかったので、興味津々で見ましたが。
俳優さんは、学校の音楽室にあった肖像画そのままで、ステキだと思いました。
でも、暗い映画でした。
ショパンの生涯もこのように暗いものだったのでしょうね。
19世紀の初頭、ポーランドという地理的にも大国の狭間にあって、悲劇的な歴史を持つ国で、育ったショパン。
父親も音楽家で、フランスから貴族の家庭教師として招かれ、ポーランドに帰化した人で、ショパンを厳しく育てましたが、それも、彼の才能を知っていたからだった。
青年となったショパンは大公のピアノ教師となり、その権力に任せた無理難題に答えるので精一杯の毎日。
父は、ショパンをパリへ逃がす。
しかし、パリでは仕事に恵まれず、体調も整わない不遇の時代だった。
リストの愛人でもある貴族のサロンで、有名な作家のジョルジュ・サンドと出会う。
このとき、ショパンは貴族の娘に求婚をしていたので、サンドの告白を拒否する。
貴族の娘の親から健康を理由に結婚を反対されて、失意のショパンはサンドのもとへ。
サンドは前夫と離婚が成立したばかりで、思春期の息子モーリスと10代に入ったばかりの娘ソランジュがいた。
サンドの一家と一緒にマジョルカ島で静養を試みるが、肺結核は悪化、冬はパリ、夏はサンドの別荘のあるノアンで暮した。
娘のソランジュは年頃になり、ショパンに恋心を抱くようになり、息子のモーリスはショパンを嫌って喧嘩沙汰になり、ショパンはサンドと別れパリに戻る。
このころから演奏会は成功を納めて、ショパンの人気も高まって行くが、健康状態はますます悪化、姉を呼び寄せて看護してもらうほどだった。
そして死去。
姉はショパンの遺言通り、心臓を故郷に持ち帰った。
あの美しくも激しい名曲を描いたショパンが、この作品ではかなり情緒不安定な神経質でわがままな人物に描かれていて、残念な感じがしました。
サンドとの恋の逃避行も、ロマンティクなものではなく、みんなが傷ついてしまいました。
サンドも、思春期で感じやすい年頃の子供たち、特にモーリスは画家志望で繊細な性格なのに、母親の恋愛を目の当たりに見せられて、どう感じるか、ちょっと考えたらわかりそうなものなのに。
さらに、気難しいショパンとうまくいかないのは、最初からわかっているだろうに、と思いました。
母親と言うより、女性として生きたかったのでしょうが、子供たちが犠牲になった感じがしました。
最終的にはショパンより子供たちをとるわけですから、かなり身勝手だなあと思いまいました。
サンドは、この時代で作家として自立し、離婚して子供を育て、男装して社交界に出るなど、当時の女性としては傑出した人には違いはないでしょう。
この作品も、ショパンがサンドのもとを去ってからは、サンドの作品にすり替わりそうでした。
ショパンの生涯と言いながら、ショパンは魅力に乏しい感じがしました。
演奏は素晴らしいです。
もう少し、違う作り方があったのでは、と思わせる作品でした。
音楽はいいんだけど。
それなら、普通にCD聞けばいいしね。
曲が素敵なだけに勝手に美化してしまっていたからでしょうか・・・
でも本当 もう少し素敵に描いて欲しかったなぁ・・・
でもでもショパンのピアノ曲は 本当に素敵ですね!大好きです!
美男だし、悲劇的な生涯だし、もう少し違う見方もあったでしょうに。
登場人物の誰も応援できなくて、残念でした。