マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ツォツィ

2007-11-16 09:09:42 | 映画ーDVD
ーツォツィー
2005年 南アフリカ/イギリス ギャヴィン・フッド監督 
プレスリー・チュエニヤハエ(ツォツィ)テリー・フェト(ミリアム)ケネス・ンコースィ(アープ)モツスィ・マッハーノ(ボストン)ゼンゾ・ンゴーベ(ブッチャー)ZOLA(フェラ)ジェリー・モフケン(モーリス)

【解説】
アパルトヘイト後も続く南アフリカの過酷な現状と、未来への希望を見つめ、第78回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した感動作。社会の底辺で暴力に明け暮れてきた少年が、生後間もない赤ん坊と出会ったことで人間性に目覚めてゆく姿を描く。監督は、本作の成功により次回作でメジャーデビューを果たす南ア出身のギャヴィン・フッド。監督は本作の成功でメジャーデビューも決まった南アフリカ出身の新鋭ギャヴィン・フッド。アパルトヘイト後もなお続く過酷な現状を描いたリアルなドラマと、主人公の少年を演じて圧倒的な存在感を見せつけた新星プレスリー・チュエニヤハエに注目。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
南アフリカ、ヨハネスブルクのスラム街に暮らすツォツィ(プレスリー・チュウェンヤガエー)は、仲間とつるんで窃盗やカージャックを繰り返していた。ある日、高級住宅街にやってきた彼は車を運転していた女性を撃って逃走。やがて、強奪した車の後部座席に生後間もない赤ん坊がいることに気づいたツォツィは、赤ん坊を紙袋に入れて自分の部屋に連れ帰るが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
05年度のアカデミー賞外国語映画賞受賞作品。

予告編からもっと残酷なシーンのでて来る映画かと構えていましたが、思いっきり直球勝負のヒューマンドラマでした。

病気の母親から遠ざけられ、アル中で犬を虐待する父親から逃れて、自らストリートチルドレンとなった少年。
彼は名前を捨て、「ツォツィ(不良)」と名乗って、泥棒、強盗、殺人など悪行を生業に生きている。
情け無用、大人も怖れる少年ギャング。

ある日、高級住宅地で車を襲い、女性を傷つけて逃走する。
その車の中に赤ん坊がいた。
何を血迷ったか、彼は赤ん坊の面倒をみようと試みる。
だが、その方法すら知らない。
近所の、赤ちゃんがいて夫を亡くした若い母親に頼もうと思うのだが、頼む方法も知らない。
銃で脅して、おっぱいをもらう。
赤ん坊の名前を聞かれた。
とっさに捨てたはずの自分の名前を告げた「デビッド」。

少年の心に変化が表れる。
駅で物乞いをする障害のある男性をみて、なぜ人はこうまでして生きるのかと疑問を持つ。

これは、アフリカの固有の悲劇に根ざした問題だけが原因とは思えませんでした。
南アフリカ独特の、アパルトヘイトの後遺症といった根深い問題があるにしても、都市が発展していく過程で、生み出され、取り残されていく弱者の話。
どの都会にもあるスラムや貧困に起因する物語だと思いました。

いえ、今の日本にだって起こりえることではないでしょうか?
親から虐待されている子供、社会から見捨てられて夜の町を彷徨う子供は、どうやって生きていくのか?

あるいは、人は悪人に生まれつくのか、悪人として育つのか?
いろいろなテーマを含んでいると思いました。

人の心に触れた彼は、やがて両親に赤ちゃんを返す決心をするのですが…。

DVDには特典として違うラストがふたつ付いていました。
どちらも、捨てがたいラストでした。
でも監督のコメントを聞くと、本編のラストの意味がよくわかりました。

ここは監督の望み通り、みんなで考えましょう。
ツォツィはこの先、どうなったのかー。
人間として目覚めた彼の行く末に、幸せはあるのか?



最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (puchika)
2007-11-16 19:03:44
こんばんは!とっても興味深い内容です。
この少年はその後立ち直ったのかしら?そのラストが2つあるって事かしら?それともどちらも考える感じで終わるのかしら?

子供ってほんとに感受性が豊かだからちょっとした事で道を外れていく事でしょう・・。親が見本。国が見本になっていかなきゃですね!

これみたいです!
返信する
プチちゃんへ (よう)
2007-11-17 09:39:53
ハリウッド映画のように派手にテンポよくできているわけではないです。
主演の男の子の目の演技が光っています。

子育て中のプチちゃんは、いろいろ感じるところがあると思います。

特典のラストは彼の将来の2つの提示でした。
ひとつは彼の罪は消えた、と言う感じで、もうひとつは、彼はきっと人生をやり直すだろうと言う感じです。
私は、作品の途中から、最初の方のラストを想像していました。
本編は、みなさんに考えてくださいという感じです。
きっと、これが良かったんだと思うわ。
あまりドラマティックにしてしまうのもリアリティがなくなりそうだもの。

まだ見ていないのに、ぐちゃぐちゃ書いてごめんね。

返信する
そっかぁ~ (miyu)
2007-11-17 21:12:18
アナザー・エンディングも良かったのですね。
どちらも同じ余韻を感じられるのかな?
コレは通常版のラストもとても余韻があって
いいエンディングだったように思うのですが、
そっかぁ~特典映像良さそうですね。
返信する
miyuさんへ (よう)
2007-11-18 09:42:39
ふたつのラストは具体的です。
余韻はもちろんあります。
どれも捨てがたいラストです。
コメンタリーで言っていたけど、すごく議論したみたい。

でも、そういわれれば、本編のがいいなあ。
うん、それは絶対そうです。
返信する
やりきれませんね (せつら)
2007-11-18 23:16:12
今晩は!
子供を拾ったことはツォツィにとってよかったのかも
しれないですね
しかし彼がしたことは決して許されることではないし
彼のした
ことは結局もう一人の自分を生むことになると気がついたの
かもしれないし厚生の余地はあると思います
お父さんを救うために仲間を撃ったというのもお金のために車を盗みお母さんを半身不随にしてあまつさえ大事な
子供を奪ったりと彼の行いは決してゆるされないのですが
ラストでのあの涙を見るとつらいですね、彼は知らずのうちに厚生にむかってい
たのですから
この作品を見ると安易に赤ちゃんポストに捨てた親や自分のためだけに
子供を犠牲にした親に「甘えるな!」といいたくなります
こんな安全で恵まれた国にいながら何やってんだと
返信する
せつらさんへ (よう)
2007-11-19 11:24:00
せつらさんのお怒りはごもっとも。
こんなツォツィでさえ、赤ん坊の無垢なまなざしに、生きる意味に気がつくのに、自分の子供を「赤ちゃんポスト」に預ける親はどういう気持ちなんでしょうね。
でも、「赤ちゃんポスト」に預ける親の方がまだましです。
折檻死させる親、ネグレクト…。
新聞にしょっちゅう載っていて、読むのが嫌になります。
日本の映画で外国で評価されたのが「誰も知らない」だなんて、恥ずかし過ぎると思いませんか?
「長い散歩」もそうでした。

いまや、日本は外国から見たら子供にとってかなり危険な国なんじゃないでしょうか?
子供は自分の親から身は守れませんもの。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。