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ーウェディング・ベルを鳴らせーZAVET/PROMISE ME THIS/PROMETS-MOI
2007年 セルビア/フランス
エミール・クストリッツァ監督・脚本 ロシュ・ミロヴァノヴィッチ(ツァーネ)マリヤ・ペトロニイェヴィッチ(ヤスナ)リリャナ・ブラゴイェヴィッチ(ボサ)ストリボール・クストリッツァ(トプス)ミキ・マノイロヴィッチ(バヨ(マフィアのボス))アレクサンダル・ベルチェク(ジヴォイン(祖父))
【解説】
『ライフ・イズ・ミラクル』などで知られる、エミール・クストリッツァ監督によるハッピーなラブ・コメディー。牧歌的なセルビアの山村を舞台に、花嫁を探しに都会に出て行く少年の珍道中を軽快な音楽に乗せてつづる。主人公を演じるのは、これが長編デビュー作となるウロス・ミロヴァノヴィッチ。その祖父役をベテランのアレクサンダル・ベルチェクが演じている。おとぎ話のようなストーリー展開と、管弦楽器が奏でるリズムに酔いしれる。
【あらすじ】
ツァーネ(ウロス・ミロヴァノヴィッチ)は、セルビアの山奥の村で祖父(アレクサンダル・ベルチェク)とのどかな暮らしを楽しんでいた。ある日、祖父は突然孫に都会へ行って牛を売った代金で3つの約束を果たせと命じる。1つ目は聖ニコラスのイコンを買うこと、2つ目は自分用のお土産を買うこと、そして3つ目は何と嫁を見つけることだった。(シネマトゥデイ)
【感想】
エミール・クストリッツァ監督といえば、私にとってはジョニー・デップ主演の「アリゾナ・ドリーム」なんですが、彼は、旧ユーゴスラビアのサラエヴォ生まれ。
「アリゾナ~」を撮影中に、ボスニア戦争が勃発し、自宅の略奪や父の死を経験したそうです。
「アリゾナ~」を完成させたすぐ後に「アンダーグラウンド」を制作し、カンヌ映画祭でパルムドール賞に輝きました。
この「ウェディング・ベルを鳴らせ」は予告編を見て興味を持ちました。
すごーい、ドタバタ喜劇でした。
面白かったー。
お話の舞台はセルビアの貧しい村。
おじいさんと暮らす16歳の少年ツァーネ(ロシュ・ミロヴァノヴィッチ)が主人公です。
村は過疎化が進んでいるようです。
学校に通う子供はツァーネひとり。
ある冬に役人がやって来て、「一人の生徒しかいないなら、学校は閉鎖だ」と言いました。
それ以来、ツァーネは学校に通えなくなりました。
おじいさんは、発明家で、オープニングシーンは「バックトゥザフューチャー」を彷彿とさせます。
古い教会の修理をコツコツとしていますが、自分が死んだ後のツァーネのことが心配でなりません。
ある日、おじいさんはツァーネに町で牛を売ってくるように言いつけました。
そのお金で、1.聖ニコラスのイコンを買うこと。2.ツァーネ自身へのお土産を買うこと。3.お嫁さんを見つけてくること、という3つの約束をしました。
ツァーネは牛を引いて、村を後にしました。
サーカスのロケット人間が延々と空を飛び続けているし、まるでおとぎ話のようです。
町は、とても近代的で美しい町です。
ツァーネは大きなビルに驚きますが、きれいで薄着の美女たちからも目が離せません。
やがて、一人の女子高生に目を奪われ、ふらふらとついて行きました。
美しい娘はヤスナ(マリヤ・ペトロニイェヴィッチ)といいます。
教師をしている母と二人暮らしですが、母には秘密がありそうです。
ヤスナの母はマフィアのボス・パヨ(ミキ・マノイロヴィッチ)に脅かされているました。
借金があって、そのカタにヤスナを差し出せと言っています。
いまや、ヤスナのストーカーみたいにつきまとっているツァーネですが、彼自身もパヨと関わり、事件に巻き込まれて行きます。
とうとうヤスナがパヨの手に落ち、ここからの攻防が、まるで「ホームアローン」のように笑わせてくれます。
ツァーネはついに、ヤスナを悪人の手から救い出し、おじいさんとの約束を果たすべく村に帰ってきますが、マフィアも追いかけて来て、牧歌的な村は激しい銃撃戦の舞台となります。
それでも、臨場感なし、ほのぼのハッピーなラストとなります。
ツァーネとヤスナは、初キッスが、ツァーネが傷ついた振りをしてヤスナを騙して人工呼吸をしたものですから、そのあとのキスも二人は思いっきり息を吸ってキスをします。
初々しいと言うか、とても微笑ましいキスでした。
隣人同士で、流血の内戦を経験したセルビア。
立ち直るまでには、村も町もまだまだ時間がかかりそうですが、こんな映画を作れるユーモアがあれば、明日は明るいと思いました。
音楽も印象的で楽しかったです。
クストリッツァは偉大だと思いました。