ーハワーズ・エンドー
1992年 イギリス/日本
ジェームズ・アイヴォリー監督 E・M・フォスター原作 アンソニー・ホプキンス ヴァネッサ・レッドグレーヴ ヘレナ・ボナム=カーター エマ・トンプソン ジェームズ・ウィルビー サミュエル・ウェスト
【解説】
J・アイヴォリーが「眺めのいい部屋」「モーリス」に続き、みたびE・M・フォスター文学に挑んだ作品。知的中産階級で理想主義的なシュレーゲル家と、現実的な実業家のウィルコックス家は旅行中に親しくなり、シュレーゲルの次女ヘレンはウィルコックスの別荘ハワーズ・エンドに招かれる。美しい田園風景の中、当家の次男ポールに一目惚れし、姉に婚約の意志を書き送る。それを読んで、すわ結婚と早とちりした姉が飛んでくるが、ポールにそのつもりはなく……。(allcinema ONLINE)
【感想】
「眺めのいい部屋」を見て、この作品も見ようと思いました。
同じ原作監督の1作目「モーリス」は、残念ながら私の契約しているオンラインショップでは数が少なそうです。
さて、この作品、すごく日本の小津安二郎監督などの日本の家庭を描いた作品に通じるものがあるなあ、と思って見ていました。
これは「ハワーズ・エンド」と呼ばれる屋敷をめぐるお話です。
建物に名前がつき、愛着を持たれるようになった家と言うものは、自分自身の意思があるかのように、人々の運命を変えていきます。
そう捉えてみて見ると、この作品はとても壮大でドラマチックです。
知性と教養があり、議論好きで読書好きのシュレーゲル家の姉妹、マーガレット(エマ・トンプソン)とヘレン(ヘレナ・ボナム=カーター)。
姉はすでに婚期を逃し、妹は結婚相手を捜していました。
イギリスは階級社会ということも頭に入れる必要があるでしょう。
シュレーゲル家はお金持ちではないけど、資産階級で、生活の心配はないようです。
一方、ハワード・エンドを所有しているウィルコックス家。
当主のヘンリー(アンソニー・ホプキンス)は実利一辺倒の事業家。
妻ルース(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は病気がち。
3人の子供たちは、長男のチャールズは跡取りですが、次男のポールは落ち着かない野心家で、娘のイビィーもお嬢様育ちという感じです。
1年前、ポールとヘレンが恋愛して、気まぐれで結婚すると言い出した騒ぎがあり、両家は疎遠になっていました。
チャールズが結婚して、しばらくロンドンに滞在することになった一家。
選んだ借家がシュレーゲル家のお向かいでした。
ご挨拶に行ったマーガレットとルースは意気投合して、二人の付き合いは深まっていきました。
ルースは、親切なマーガレットをとても信頼して、自分の生まれた家であるハワーズ・エンドをマーガレットに譲るとメモ書きして亡くなります。
遺されたウィルコックス家の人たちは、そのメモを病人の戯言として、暖炉で燃やしてしまいました。
ふとしたきっかけで姉妹は保険会社に勤める、つまり労働者階級のレナードと知り合います。
レナードには、無教養な妻がいて、線路際の貧しい家で暮らしています。
レナードは、詩や文学を愛する好青年で、姉妹は彼の役に立ちたいとおせっかいをやきだします。
ウィルコックスは、姉妹とレナードの付き合いを止めるように忠告し、レナードの会社は倒産すると言います。
二人は早速、レナードに忠告し、彼は転職しますが、その銀行からリストラに会い、とうとう失業してしまいました。
しかも、元の保険会社は潰れなかったのです。
一方マーガレットは、住んでいる家を家主に明け渡すことになり、新しい家を探すためにヘンリーに相談しているうち、求婚され、受け入れます。
ヘレンは、レナードへの責任から、マーガレットからヘンリーに求職を頼んでくれるよう、ヘンリーの娘の結婚式に、レナードとその妻ジャッキーを連れ、乗り込んでいきます。
そこで、ジャッキーがかつてヘンリーの愛人だったことがわかるのですが、マーガレットは歯を食いしばってヘンリーを許します。
ヘレンも、レナードへの自責の念が、やがて愛情に変わり、二人は一度だけの情事に踏み込んでしまいました。
妊娠を隠すため、レナードから身を隠し、マーガレットや弟との連絡も絶ってしまうヘレン。
病気だと思い込んで心配したマーガレットは、ハワーズ・エンドにヘレンが来るようにしむける手紙を書きます。
ヘンリーはその様子をチャールズに見に行かせ、レナードもヘレンの行き先を追ってハワーズ・エンドへ。
運命の糸は登場人物たちをこの家へと導き、思いもかけない悲劇として幕を閉じるのでした。
ルースの思いが通じたのか、家に意思があったのか、ハワーズ・エンドはマーガレットの所有となりました。
イギリスの家庭の様子がよくわかるし、洗練された会話が楽しめ、映像もとてもきれいです。
アカデミー賞(主演女優賞)(1993年)カンヌ国際映画祭(45周年記念賞)(1992年)ゴールデン・グローブ(女優賞(ドラマ))(1992年)LA批評家協会賞(女優賞)(1992年)NY批評家協会賞(女優賞)(1992年)など、数々の賞を受賞しています。
1992年 イギリス/日本
ジェームズ・アイヴォリー監督 E・M・フォスター原作 アンソニー・ホプキンス ヴァネッサ・レッドグレーヴ ヘレナ・ボナム=カーター エマ・トンプソン ジェームズ・ウィルビー サミュエル・ウェスト
【解説】
J・アイヴォリーが「眺めのいい部屋」「モーリス」に続き、みたびE・M・フォスター文学に挑んだ作品。知的中産階級で理想主義的なシュレーゲル家と、現実的な実業家のウィルコックス家は旅行中に親しくなり、シュレーゲルの次女ヘレンはウィルコックスの別荘ハワーズ・エンドに招かれる。美しい田園風景の中、当家の次男ポールに一目惚れし、姉に婚約の意志を書き送る。それを読んで、すわ結婚と早とちりした姉が飛んでくるが、ポールにそのつもりはなく……。(allcinema ONLINE)
【感想】
「眺めのいい部屋」を見て、この作品も見ようと思いました。
同じ原作監督の1作目「モーリス」は、残念ながら私の契約しているオンラインショップでは数が少なそうです。
さて、この作品、すごく日本の小津安二郎監督などの日本の家庭を描いた作品に通じるものがあるなあ、と思って見ていました。
これは「ハワーズ・エンド」と呼ばれる屋敷をめぐるお話です。
建物に名前がつき、愛着を持たれるようになった家と言うものは、自分自身の意思があるかのように、人々の運命を変えていきます。
そう捉えてみて見ると、この作品はとても壮大でドラマチックです。
知性と教養があり、議論好きで読書好きのシュレーゲル家の姉妹、マーガレット(エマ・トンプソン)とヘレン(ヘレナ・ボナム=カーター)。
姉はすでに婚期を逃し、妹は結婚相手を捜していました。
イギリスは階級社会ということも頭に入れる必要があるでしょう。
シュレーゲル家はお金持ちではないけど、資産階級で、生活の心配はないようです。
一方、ハワード・エンドを所有しているウィルコックス家。
当主のヘンリー(アンソニー・ホプキンス)は実利一辺倒の事業家。
妻ルース(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は病気がち。
3人の子供たちは、長男のチャールズは跡取りですが、次男のポールは落ち着かない野心家で、娘のイビィーもお嬢様育ちという感じです。
1年前、ポールとヘレンが恋愛して、気まぐれで結婚すると言い出した騒ぎがあり、両家は疎遠になっていました。
チャールズが結婚して、しばらくロンドンに滞在することになった一家。
選んだ借家がシュレーゲル家のお向かいでした。
ご挨拶に行ったマーガレットとルースは意気投合して、二人の付き合いは深まっていきました。
ルースは、親切なマーガレットをとても信頼して、自分の生まれた家であるハワーズ・エンドをマーガレットに譲るとメモ書きして亡くなります。
遺されたウィルコックス家の人たちは、そのメモを病人の戯言として、暖炉で燃やしてしまいました。
ふとしたきっかけで姉妹は保険会社に勤める、つまり労働者階級のレナードと知り合います。
レナードには、無教養な妻がいて、線路際の貧しい家で暮らしています。
レナードは、詩や文学を愛する好青年で、姉妹は彼の役に立ちたいとおせっかいをやきだします。
ウィルコックスは、姉妹とレナードの付き合いを止めるように忠告し、レナードの会社は倒産すると言います。
二人は早速、レナードに忠告し、彼は転職しますが、その銀行からリストラに会い、とうとう失業してしまいました。
しかも、元の保険会社は潰れなかったのです。
一方マーガレットは、住んでいる家を家主に明け渡すことになり、新しい家を探すためにヘンリーに相談しているうち、求婚され、受け入れます。
ヘレンは、レナードへの責任から、マーガレットからヘンリーに求職を頼んでくれるよう、ヘンリーの娘の結婚式に、レナードとその妻ジャッキーを連れ、乗り込んでいきます。
そこで、ジャッキーがかつてヘンリーの愛人だったことがわかるのですが、マーガレットは歯を食いしばってヘンリーを許します。
ヘレンも、レナードへの自責の念が、やがて愛情に変わり、二人は一度だけの情事に踏み込んでしまいました。
妊娠を隠すため、レナードから身を隠し、マーガレットや弟との連絡も絶ってしまうヘレン。
病気だと思い込んで心配したマーガレットは、ハワーズ・エンドにヘレンが来るようにしむける手紙を書きます。
ヘンリーはその様子をチャールズに見に行かせ、レナードもヘレンの行き先を追ってハワーズ・エンドへ。
運命の糸は登場人物たちをこの家へと導き、思いもかけない悲劇として幕を閉じるのでした。
ルースの思いが通じたのか、家に意思があったのか、ハワーズ・エンドはマーガレットの所有となりました。
イギリスの家庭の様子がよくわかるし、洗練された会話が楽しめ、映像もとてもきれいです。
アカデミー賞(主演女優賞)(1993年)カンヌ国際映画祭(45周年記念賞)(1992年)ゴールデン・グローブ(女優賞(ドラマ))(1992年)LA批評家協会賞(女優賞)(1992年)NY批評家協会賞(女優賞)(1992年)など、数々の賞を受賞しています。