マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

東京島

2011-09-05 10:09:11 | 映画ーDVD

 

ー東京島ー

2010年 日本

監督=篠崎誠 原作=桐野夏生 キャスト=木村多江(清子)窪塚洋介(ワタナベ)福士誠治(GM・森軍司(ユタカ))柄本佑(オラガ)木村了(犬吉)染谷将太(マンタ)山口龍人(カスカベ)南好洋(シンちゃん)結城貴史(ダクタリ)清水優(アタマ)阿部亮平(ジェイソン)テイ龍進(ヤン)趙民和(ムン)石田佳央(チェン)吉田友一(ミユキ)塩見大貴(フレディ)中村無何有(ウッス)松川貴弘(サカイ)保科光志(シマダ)藤川俊生(ヒキメ)サヘル・ローズ(キム)古藤ロレナ(パム)鶴見辰吾(隆)

 

【解説】

直木賞作家・桐野夏生の同名ベストセラー小説を原作に、無人島に漂着した23人の男と唯一の女性である40代の主婦が織り成すサバイバル生活を描いた人間ドラマ。無人島での奇妙な共同生活を、『おかえり』の篠崎誠監督が活写する。直感と行動力を頼りに困難に立ち向かっていくヒロインを、『ぐるりのこと。』の木村多江が熱演。共演には窪塚洋介、福士誠治、柄本佑ら個性豊かな若手実力派がそろう。

 

【あらすじ】

清子(木村多江)と夫(鶴見辰吾)が漂着した無人島に、23人の若い男たちが次々に流れ着くが、女性は清子のみ。いつまで待っても助けの船は来ず、いつしか島を東京島と呼ぶようになる中、彼女はただ一人の女性として特別扱いを受けてしたたかに生き抜く。月日は流れ、島に安住しようとする男たちにいら立つ清子は、脱出のための行動を開始する。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

1945年から50年にかけて、実際に起こった「アナタハンの女王事件」がベースになっているそうです。

この事件を、知りませんでした。

 

「アナタハンの女王事件」とは、サイパン島から少し離れたところに位置するアナタハン島という無人島に、男32人と女性一人が住み着き、しばらくは共同生活をしていたが、女性を巡り争い、墜落した飛行機から銃を見つけてからは、女性を巡って男性たちの間で公然と殺し合いが行われることになった。

1950年にアメリカの船に救出されたときは、生き残った男性は19人だった。(ウィキペデアから要約)

 

この「東京島」は設定が現代になっていました。

 

クルーザーで夫(鶴見辰吾)と世界一周旅行に出た清子(木村多江)は、漂着した南の島で蛇や果物を食べながら、小さな家を建てて暮らしていた。

その後、与那国島から脱出して来たフリーターたち16人もいたが、かれらも2、3カ所に別れて暮らしていた。

 

彼らはこの島を「東京島」と名付けた。

 

☆ネタバレ

あるとき、清子の夫が崖から転落して亡くなり、清子は、フリーターの中でも粗暴なカスカベ(山口龍人)を新しい夫として、自分の家で暮らしていた。

 

ワタナベ(窪塚洋介)が住むトーカイムラの近くで中国人6人を発見。

カスカベは腹を立てて中国人のところへ行ったきり、帰って来なかった。

 

カスカベは崖から転落して死んでいた。

 

日本人たちは話し合い、くじ引きで清子の夫を決めることにして、GM(福士誠治)と呼ばれる記憶喪失の男が選ばれた。

GMは清子から豊という名前をもらい、しばし平和に暮らしていたが、清子はワタナベに「中国人が呼んでいる」と呼び出され、中国人が作った船に乗って島を脱出することにした。

 

しかし、何日も漂流してたどり着いたのは結局東京島だった。

 

日本人グループでは、GMが記憶を取り戻し、みんなの中心となっていろんな役割分担をして平和に暮らしていた。

清子は裏切り者として戻り、前のように必要とされなかった。

 

そんなときに、清子の妊娠が発覚。

また、清子はGMの子供の母として君臨する。

 

そして、ワタナベが島からの脱出に成功した後、GMを罠にかけて権威を失墜させる。

 

より安全な子供を産む場所を求めてふたたび中国人に近づくと、そこにはフィリピンから漂着した美しいダンサーズ「チキチータ」のメンバーたちがいて、彼女たちの乗ってきたボートを中国人たちが修理していた。

 

清子はダンサーたちに手伝ってもらって双子を出産。

女の子をチキ、男の子をチータと名付けた。

 

いよいよ東京島を脱出というときに、暴徒と化した日本人が乱入、大混乱の中で清子とイラン人の年増ダンサー・キムが赤ちゃんをかばって逃げたが、チータを日本人に奪われた。

GMが、「逃げろ!この子は僕が育てる!!」と、叫んだので、清子とキムとチキはボートに飛び乗って「東京島」を脱出した。

 

10年後、GMは島の王様として君臨し、彼が育てた王子のチータの10歳のお誕生日を祝っていた。

フィリピン人の女性も住み着き、みんなで小さな王国を形成していたのだ。

 

さて、東京では、清子とキムがチキの誕生日をお祝いしていたー。

 

東京島を脱出した清子が、チータを探しに行かないところがとても不思議でした。

また、生まれたばかりの赤ん坊が、母乳もなしにどうやって大きくなったのかも不思議でした。

 

つまり、「東京島」というのは、現実の島ではなく、次元の違うところにある島なのかもしれませんね。

ということは、この作品はファンタジーなのでしょう。

 

だから、島での生活もとってもまったりしていて、悲壮感がありませんでした。

 

これが、効果としてよかったのかどうかー?

 

木村多江さんがとっても魅力的なので、シュールな感じは半減したような気がします。

究極の選択を描きたかったのでしょうけど、木村多江さんなら、無人島に女が一人でなくても、素敵だから、もてもてで当たり前だものね。

 

男の人たちの人間描写も足りなかったんじゃないかなあ。

もう少し、清子の夫たちの個性を知りたかったなあ。

 

 



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4 コメント

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Unknown (杏子)
2011-09-05 17:03:12
私は原作小説の方を読みました。
清子はごく平凡な中年女性として描かれていますが、島で暮らすうちに生き延びるための「力」のようなものを得ていきます。

「島」が持つ不思議な力が男も女も変えていくような気がしました。

けっこうドロドロな修羅場もあるけど、結局手元に残ったのも女の子ってのが何か象徴的ですよね。
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杏子さんへ (マダムよう)
2011-09-06 08:49:33
なるほど、小説はいろんなものの暗喩になっているようですね。

映画は、前半とてもまったりしていて、無人島で生き抜くという臨場感に乏しかったです。

終わってみたら、ファンタジーなのね、思ってしまいました。

桐野さんの小説は面白いので、これも読みたいなあ。
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したたかで逞しい女性 (meg)
2011-09-07 10:15:25
最初の夫が無人島の生活に馴染めず食べ物の絵ばかり描いて落ち込んでいる中、蛇を殺して皮を剥いで食べている清子の姿を見て、女性の逞しさを感じました

「東京から持ってきたものはこの島での生活には何の役にも立たないことに気付いた。その中でも一番いらないものが夫だった。」というセリフから、夫は清子か誰かに突き落とされたのか、気がふれて自殺したんだと思いました。

夫の死後、すぐに凶暴なワタナベとくっつき、ワタナベが死ぬと、わずかな持ち物の布でありったけのお洒落をして次の夫を決める男性たちのくじ引きの中に現れる清子
ここでも、女性のしたたかさと逞しさを強く感じました

【そして、ワタナベが島からの脱出に成功した後、カスカベを罠にかけて権威を失墜させる。】→ここはカスカベじゃなくGMですよね?

そして双子まで出産してしまう清子の逞しさにはびっくりさせれれました
しかもGMの子か中国人の子かわからないけれど、どっちにも父親の責任を感じさせ、お腹の子供をネタにさらに強くなっていく清子

【東京島を脱出した清子が、チータを探しに行かないところがとても不思議でした。】→同感

【木村多江さんなら、無人島に女が一人でなくても、素敵だから、もてもてで当たり前だものね。】→これはどうかなー? 若いフィリッピン女性が現れたら男性達の態度がコロッと変わったように、地味な中年女性がモテたのは、やっぱり無人島で唯一の女性だったからだと私は思いました

それにしてもこんな話を思いつくなんて凄いなあと思ったら、現実に過去にそんなことがあったのですねー



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megさんへ (マダムよう)
2011-09-07 22:18:53
そうそう、カスカベではなく、GMですね。
訂正しました。
ありがとう。

>やっぱり無人島で唯一の女性だったからだと私は思いました

清子が、「島で一人太った」ってワタナベにからかわれながら、ジョギングしているシーンがあったでしょう?
思わず、「嫌みー」と思ってしまいました。
私のひがみやねー。

確かに、清子はたくましくしたたかでしたね。
いろんなことを、例えば人間の原始の姿などを暗喩しているのだろうなあ、と想像しながらも、ぱしっとしたものがあらわされないので、少しストレスが貯まりました。

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