マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

デカメロン

2009-03-31 10:59:53 | 映画ーDVD
ーデカメロンー IL DECAMERONE/THE DECAMERON
1970年 フランス/イタリア
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督 ジョヴァンニ・ボッカチオ原作 フランコ・チッティ ニネット・ダヴォリ アンジェラ・ルーチェ エリザベッタ・ダヴォリ シルヴァーナ・マンガーノ

【解説】
 ボッカチオの艶笑譚集から7つのエピソードを現代に置き換え、狂言廻しの画家ジョットの小話を加え構成された、パゾリーニの奔放な解釈の光る人間戯画。いかに中世の原始性を保ちながら、同じ業に現代の我々も生きているのかを、大らかに笑いながら、ささやかな恐怖も盛り込んで天才は問いかける。彼の艶笑三部作の第一作。(allcinema ONLINE)

【感想】
70年代、私はアメリカの映画ばかり見ていて、結局パゾリーニやフェデリコ・フェリーニを見ていないということに、後ろめたさを感じていたので、少し、この方面も見ておくことにしました。

エロ話や汚物などグロテスクさという先入観があって、見る気持ちが失せていたのですが、やはり、食わず嫌いはダメですね。
この作品は、とても面白く見ることができました。

原作はジョヴァンニ・ボッカチオの「デカメロン」。
14世紀半ば、イタリア・フィレンツェの作家によって書かれた本で、「1348年に大流行したペストから逃れるために邸宅に引き篭もる間に男3人、女7人の10人が退屈しのぎの話をするという趣向で、10人が10話ずつ語り、全百話から成る。内容はユーモアと艶笑に満ちた恋愛話や失敗談など」(ウィキペディアより要約)

いくつかの話のオムニバスですが、ストーリーが折り重なるように進んでいきます。
ほとんどがコメディですが、なかには、使用人と恋人同士の商家の娘の話なんかは、悲恋物語でした。

恋人が娘の部屋から抜け出すのを兄に見られ、三人の兄が怒って、その使用人を山に誘い出して殺して埋めてしまいます。
娘は、その亡骸を見つけ、重くて全部は運べないので、頭だけを切り離し、持ち帰ります。
その頭をきれいに洗い、部屋の鉢植えの中に入れて、上から植物を植えるというお話でした。
シュールで美しいお話でした。

そんな風に、身分の違いや宗教の戒律によって厳しく規制されている恋愛やセックスを、庶民の力で跳ね返していくというエネルギーに満ちた作品でした。

ヨーロッパの中世と言えば、暗いイメージですが、多くの庶民はこんな風に、生命力に溢れて生活していたのだろうと思いました。
喜びもあり、悲しみもあり、また、それを乗り越えて、いつの時代も人々は明るく生きているのだと思いました。

やっぱり、名作でした。


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