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ー人生、ここにあり!ーSI PUO FARE
ジュリオ・マンフレドニア監督 クラウディオ・ビシオ(ネッロ)アニタ・カプリオーリ(サラ)ジュゼッペ・バッティストン(フルラン医師)ジョルジョ・コランジェリ(デルベッキオ医師)
【解説】
バザーリア法の制定により、精神病院が廃止されたイタリアで起こった実話を映画化したヒューマンコメディー。本国イタリアでは動員数40万人超、54週ロングランの大ヒットを記録し、イタリア・ゴールデングローブ賞を受賞。これまでイタリアでも語られることのなかったトゥルーストーリーが、思慮深く細やかな感性のコメディーに仕上がっている。精神科病院や精神医療施設での研修を経たキャストたちによる、リアルな演技も見どころだ。
【あらすじ】
1983年、ミラノ。正義感が強いが異端児扱いされる労働組合員のネッロ(クラウディオ・ビジオ)は、自著がきっかけで別の生活協同組合に異動させられてしまう。そこに集まっていたのは、法律の改定で廃止した精神病院を出され、行き場のない元患者たちだった。ネッロはしっかりと稼げるような仕事を彼らにさせようと思い立つが……。(シネマトゥデイ)
【感想】
「○○人生」「人生○○」みたいな邦題はもうやめて欲しいなあ。
原題は「やればできるさ」。
まさに、やったらできる!お話でした。
バザーリア法とはー
1978年5月13日に公布された世界初の精神科病院廃絶法である。後に同年12月23日成立の833号法に条文が移された。通称名はイタリアで精神科病院(イタリアではマニコミオと呼ぶ)の廃絶を最初に唱えた精神科医フランコ・バザーリアにちなむ。
精神科病院の新設、すでにある精神科病院への新規入院、1980年末以降の再入院を禁止し、予防・医療・福祉は原則として地域精神保健サービス機関で行う。治療は患者の自由意志のもとで行われる。やむを得ない場合のために一般総合病院に15床を限度に設置するが、そのベッドも地域精神保健サービス機関の管理下に置く。緊急に介入しなければならない時、必要な治療が拒まれた時には強制治療できる。その場合、二人の医師が個別に治療が必要という判断、治療の場は地域精神保健サービス機関以外、という条件を満たさなければいけない。また、市長あるいは市長の任命する保健担当長の承諾や、その市長が48時間以内に裁判所への通報することも義務づけられている。強制期間は7日間。延長の場合は再度手続きを踏む。本人や本人に近しい人は裁判所へ抗告することもできる。(ウィキペディアより)
精神病院をなくすー画期的な法律ですね。
でも、精神病院に依存している患者さんたちには、直面しなければいけない現実も多そうです。
結局、医師たちは強い精神安定剤を用いて、管理しようとするー難しい問題だと思いました。
ネッロが左遷されて転職した職場は、生協とは名ばかりの、元精神病患者たちが切手張りなどの軽作業を、薬漬けを処方している医師の管理下でやっているようなところ。
精神病にド素人なネッロは、自分なりのやり方で彼らと独立した事業に取り組もうとする。
意外なことに、彼らの中には天才的な寄せ木のデザインができる者がいて、ネッロは患者たちの特徴を掴み、巧みに適材適所において、新事業は成功、発展していくかに見えた。
しかし、狭い家族間や精神病院の世界だけで生きてきた若者が、外の世界に触れ、美しい女性に恋をして、キスをしたところまではよかったのだが、パーティで問題を起こしてしまい、警察沙汰に。
女性が彼を警察からかばうために、病気のことを持ち出したのを聞いて絶望して、自殺してしまった。
このことでショックを受けたネッロは、事業が続けられなくなり、患者たちも元のところへ。
でも、ネッロが彼らに吹き込んだ風は、頭の固い医師の考えも変えさせ、患者たちも辛い経験からも立ち直らせた。
彼らはまた、ネッロとともに新しい世界へと歩み始めるののだった。
すごくたくさんの問題提起を持った映画でした。
日本でも、精神的に傷つきやすい人たちが増えている感じがします。
また、時代には関係なく、精神を病んでいる人もいるでしょう。
閉じ込めるのではなく、オープンな社会でという理想はよくわかるけど、このストレスで溢れた現代社会そのものが患者さんにとっては生きにくい世界。
閉じ込めて薬漬けにするのは簡単かもしれないけど、それでは人間としての尊厳が守られない。
本当にきめ細やかに、ひとりひとりをケアすることが求められます。
そんな、理想的なことが私たちの社会でできるのかしら?
難しいテーマに真正面から取り組み、しかもすごく明るく、希望的に作ってあるのはさすがだなあと思いました。
いい作品でした。
難しいテーマに真っ正面に取り組んでいて、ちょっとびっくりしました。
ほんと、ラストがよかったので、いい気分で見終わることができましたね。