“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

★科学技術ニュース★理研、超高感度「3次元マイクロ流体SERSセンサー」を開発

2018-05-03 09:14:42 |    生物・医学

 


 理化学研究所(理研)光量子工学研究センター先端レーザー加工研究チームの杉岡幸次チームリーダーらの研究チームは、異なるフェムト秒レーザー加工技術を融合することにより、ごく微量の有害物質をリアルタイムで検出できる「3次元マイクロ流体表面増強ラマン散乱(SERS)センサー」を開発した。

 同研究成果は、大気、水、土壌、食品などに含まれるごく微量の有害物質を、その場でリアルタイムに検出する技術への応用が期待できる。

 今回、同研究チームは、3次元ガラスマイクロ流体チップ内に、SERSセンサーを集積することを提案した。まず、3次元マイクロ流体構造をガラスマイクロチップ内に構築し、さらに流体構造内部の所望の位置に、金属薄膜を選択的に堆積した。そして堆積した金属薄膜に、金属のナノドット周期構造を形成した。

 これら一連のプロセスは、1台のフェムト秒レーザーで行うことができます(全フェムト秒レーザー加工)。形成したナノドット周期構造がSERSセンサーとして機能し、ガラス基板上でのラマン散乱と比較して7.3×108倍のラマン散乱強度の増強が得られた。

 その結果、10ppb(1ppbは10億分の1)の検出感度で、異なる濃度のカドミウムイオン(Cd2+)をリアルタイムで検出できた。

 マイクロ流体SERSセンサーを用いれば、大気、土壌、水、食品などに含まれたごく微量の有害物質を、高速・超高感度にリアルタイムで検出するできる。また、常温での保存や、持ち運びのうえ現場での利用も可能であり、長期間にわたって繰り返し使用することもできる。

 また、ごく微量な有害物質の検出だけでなく、病気の早期発見・診断等医療用チップとしての利用も考えられ、安全、安心、健康な社会の実現に貢献すると期待できる。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ●科学技術書・理工学書<新刊... | トップ | ●科学技術書・理工学書<新刊... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

   生物・医学」カテゴリの最新記事