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●科学技術ニュース●東京大学など、室温以上で金属化する高伝導オリゴマー型有機伝導体を開発し有機電子デバイス開発の技術革新へ期待

2023-08-02 09:33:32 |    化学
 東京大学物性研究所の小野塚洸太大学院生、藤野智子助教(JSTさきがけ研究者)、森初果教授、分子科学研究所の中村敏和チームリーダー、および東京大学大学院新領域創成科学研究科の岡本博教授、宮本辰也助教、山川貴士大学院生は、東京大学物性研究所の亀山亮平大学院生(研究当時)、出倉駿特任助教(研究当時、現在:東北大学多元物質科学研究所助教)、吉見一慶特任研究員、尾崎泰助教授、(株)リガクの佐藤寛泰研究員の協力のもと、導電性高分子をモデルとした室温以上で金属状態を示す新種のオリゴマー型有機伝導体の開発に成功した。
 
 核酸やペプチドなどに代表されるオリゴマー材料は、その構成ユニットの種類、配列情報によって立体空間を制御して機能を発現する。

 同研究では、オリゴマーの配列を使って集合体の立体空間と電子機能を制御するという伝導体材料開発における新しいコンセプトを実証し、室温以上で金属状態を示す高伝導性材料を実現した。

 物質設計度が高く、レアメタルフリーで安価な原料から合成できる同材料の登場により、有機伝導体材料や有機電子デバイス開発における技術革新がもたらされることが期待される。

 室温伝導度は、同じアニオンを持つ2量体の時と比べて6桁も上昇し、36 S cm–1というオリゴマー有機伝導体の中でトップクラスの数値であった。この伝導体は、室温以上では、金属的な電子状態までも示した。

 これらの結果は、オリゴマーのユニットの種類および配列によって、集合体の立体空間と電子機能を制御できることを実証したものであり、伝導体材料開発における新しいコンセプトを実現したもの。

 このコンセプトによって、有機伝導体材料開発における新たな潮流が生まれることが予期される。さらにこうした、構造が明確で、分子設計度に優れ、レアメタルフリーで安価な原料から合成できる新種の伝導体材料の実現は、有機電子デバイス開発の技術革新をもたらしうるものと期待される。<分子科学研究所(分子研)>
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