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●科学技術ニュース●ザインエレクトロニクス、NICTと広島大学、世界初のミックスドシグナルベースバンド復調回路による20Gb/s QPSK無線伝送技術を開発  

2024-05-14 09:36:08 |    通信工学
 ザインエレクトロニクス、NICT、広島大学は共同で、総務省研究開発プロジェクトの一環で、世界初のミックスドシグナル広帯域ベースバンド回路による毎秒20ギガビットの超高速情報伝送を実現した。

 無線通信に用いられるベースバンド復調回路は、通常、高速・高分解能ADCと大規模DSPで構成されている。従来の構成を用いて数十Gb/sを超える高速な通信を行う場合、ADCとDSPへの要求性能が高くなり電力効率が悪化する。

 今回、ミックスドシグナル技術を用いて高速・低分解能ADCと小規模DSPからなる世界初のベースバンド復調回路を開発した。これにより数十Gb/sを超える超高速通信を実現しながらも、電力効率が改善することで大幅な電力削減が見込まれれる。

 ザインエレクトロニクスは、設計・測定全般を、広島大学大学院先進理工系科学研究科の藤島実教授らは、設計・測定についての議論を、NICTは、測定についての議論や測定補助をそれぞれ担当した。

 この半導体回路は、キャリア周波数をシンボル・キャリア周波数の整数倍にすることで回路を簡素化することができる。

 キャリア、タイミングとデータ復元機能を統合する独自の回路構成 (ミックスドシグナルコスタス・ループ)を用いることで超高速情報伝送を実現した。

 高速・低解像度ADCは8相タイムインターリーブ(回路全体で出力を8倍速化)毎秒40ギガサンプルの3bit ADCを実装し、これにFPGAを用いてデータを復元することで実現した。

 今回の研究成果により、ミックスドシグナル型アーキテクチャを通じて、より高性能でありながらも、エネルギー効率にも優れた回路実装への道を拓くものとなった。

 総務省では、新たな電波利用ニーズの拡大に対応するため、周波数のひっ迫状況を緩和し、電波の有効利用を目的とした電波資源拡大のための研究開発を行い、超大容量無線通信を実現可能とし、新たな周波数帯の利用を促進することにより電波資源の拡大に資することを目標としている。<情報通信研究機構(NICT)>
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