“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「想像をこえたおどろきの世界! 感動する物理」(橋本幸士監修/ニュートンプレス)

2024-06-21 09:50:09 |    物理



<新刊情報>



書名:想像をこえたおどろきの世界! 感動する物理~自然現象も身近な不思議も すべては物理が教えてくれる~

監修:橋本幸士

発行:ニュートンプレス

 この世界のさまざまな現象について考える学問を「物理」という。物理を学ぶと自然界のしくみやルールがわかり、物事を見る目が変わってくる。とはいえ、物理には難解な法則や数式も多く、苦手意識をもっている人も多いかもしれない。しかし、物理には感動するほどのおもしろさがつまっている。たとえば、「今からおよそ300年後に日本で金環日食が見られます」なんていわれたらびっくりするかもしれないが、物理の法則を使えば、天体の未来の動きを予測することができる。また、物理で考えると、「あなたは過去しか見たことがない」ことになる。実感がわかないかもしれないが、これも物理学がみせてくれる想像をこえた世界の一つ。この本では、ちょっと不思議な物理の現象を、イラストや画像をふんだんに使ってわかりやすく紹介。また、「なぜ空が青いのか」「電柱からのびた電線はどうして3本セットなのか」「火は電気を通すのか」といった、身近な話題もたくさん登場する。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「雲の物理とエアロゾル」(近藤 豊著/東京大学出版会)

2024-06-21 09:49:32 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:雲の物理とエアロゾル~物理と化学の基礎から学ぶ~

著者:近藤 豊

発行:東京大学出版会

 地球の気候・環境に重要な役割を果たしている大気エアロゾルと雲。同書はエアロゾルと雲・降水粒子を、両者に共通した生成・変容過程に注目しつつ、物理と化学の基礎から説き起こす。初学者がエアロゾルと雲の重要な諸過程を体系的に理解できる本格的な解説書。
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●科学技術ニュース●東京工業大学、世界最高のプロトン伝導度を示す完全水和した酸化物を発見し中低温で高性能な燃料電池につながる期待

2024-06-21 09:49:03 |    物理
 東京工業大学 理学院 化学系の齊藤馨大学院生、梅田健成大学院生、藤井孝太郎助教、八島正知教授らの研究グループは、従来とは全く異なる新しい材料設計戦略により、中低温域(50〜500℃)で世界最高のプロトン(H+、水素イオン)伝導度を示す新物質BaSc0.8W0.2O2.8を発見した。

 さらに、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の森一広教授と共同で測定した中性子回折データを用いた結晶構造解析と理論計算から、新物質の高プロトン伝導度の要因を明らかにした。

 現在実用化されている固体酸化物形燃料電池(SOFC)は動作温度が高いため、中低温で高いプロトン伝導度を示す材料を用いたプロトンセラミック燃料電池(PCFC)の開発が期待されている。

 プロトン伝導体のプロトン伝導度は、プロトン濃度とプロトン拡散係数の積に比例するが、従来の設計戦略であるアクセプタードーピングでは、プロトン濃度とプロトン拡散係数が低くなるという課題があった。

 一方、八島教授らの研究グループは最近、本質的な酸素空孔を持つ酸化物BaScO2.5へのMo6+ドナードーピングにより、中低温で世界最高のプロトン伝導度を持つBaSc0.8Mo0.2O2.8を発見した。

 しかしこの材料は、水の取り込み率が100%ではなく、伝導度をさらに向上させる余地があった。

 同研究では、同じBaScO2.5にMo6+よりサイズが大きいW6+ドナーをドーピングすることで、中低温で高プロトン伝導を示す新物質BaSc0.8W0.2O2.8を発見した。

 さらに、中性子回折データを用いた結晶構造解析と第一原理分子動力学シミュレーションにより、この物質の高いプロトン伝導度の要因は、(1)大量の酸素空孔と完全水和による高いプロトン濃度、(2)プロトントラッピングの減少による低い活性化エネルギーが原因の高い拡散係数にあることを明らかにした。

 【要点】①中低温で世界最高のプロトン伝導度を示す新物質BaSc0.8W0.2O2.8を発見②高いプロトン伝導度の要因をプロトン濃度と拡散係数の観点から解明③中低温で高性能なプロトンセラミック燃料電池(PCFC)などの開発に期待<高エネルギー加速器研究機構(KEK)>
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●科学技術ニュース●ラピダス、北海道大学と包括連携協定を締結し半導体産業を通じた科学技術力の向上と人材の育成を目指す

2024-06-21 09:48:37 |    電気・電子工学
 ラピダスと北海道大学は、半導体産業を通じた我が国の科学技術力の向上及び人材の育成に資することを目的として、教育・研究等に関しての包括連携協定を締結した。

 北海道における半導体産業の振興に向けた動きが急速に進んでいる中、現在課題とされている人材育成や研究開発の面において、ラピダスで計画している2025年4月からのパイロットライン稼働開始や2027年の量産開始後を見据え、長期的な高度人材の育成や先端半導体研究等の協力を進めることを目的とし、この度包括連携協定を締結することとなった。

 包括連携協定に基づく連携・協力内容は以下の通り。

(1)半導体人材の育成教育に関する事項
(2)先端半導体研究等の研究協力に関する事項
(3)施設・設備の利用に関する事項
(4)その他、本協定の目的を達成するために必要と認めて合意した事項

 当面は、北海道大学によるラピダスの半導体拠点整備への協力や、半導体人材育成・先端半導体研究において連携を図る予定。

 具体的な取り組みの例として、ラピダスが2ナノ半導体の評価・分析を行う拠点を2024年中を目処に北海道大学キャンパス内に設置する。

 また、ラピダスに関連する先端半導体の研究開発事業の促進や、北海道大学の研究の特色を活かした先端半導体研究を推進していく。

 半導体人材育成に関しては、ラピダスエンジニアの北海道大学への実務家教員派遣による講義や、北海道大学の最新研究成果をラピダスエンジニアが学ぶ機会の提供などを行っていく予定。<ラピダス>
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