はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

鶴の飛来

2012-12-25 11:34:08 | はがき随筆
 クワーッ、クワーッ。ツルの鳴き声に庭に出てみた。藍色の空の雲間に満月が見え隠れする。頭上からたくさんのツルの鳴き声がする。高く飛んでいるのかツルは見えず、流れる雲の間から鳴き声だけが夜空に響く。シベリア辺りからの旅。「あと13㌔くらいよ、頑張れ」と心で叫んだ。9月末、越冬地を通ると、見渡す稲田は二番穂が重く垂れ、土地の人は刈らずにツルに残している。今期は初飛来が遅かったが、11月の羽数調査では1万を超していた。ナベヅルやマナヅルに混じって珍鳥も飛来してくる。冬空に舞うツルの美しさは脳裏に残る。
  出水市 年神貞子 2012/12/25 毎日新聞鹿児島版掲載

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