はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆 9月度

2018-11-12 16:56:50 | 受賞作品
 はがき随筆の9月度受賞者は次の皆さんでした。(敬称略)
 【月間賞】11日「月と西郷星と」伊地知咲子=鹿児島県鹿屋市
【佳作】13日「猛暑の老年太り」中村弘之=熊本市東区
 ▽ 20日「君の名は」=福島洋一=宮崎市
 ▽ 27日「悩み多き年ごろ」梅村薫=鹿児島県姶良市

 4月に女子高生の随筆がありました。心の秘めている言葉がある。「再び帰らぬ時ならばこの時に命を燃やさん」。ひのひと言に支えられ今の私があると。素敵ですね。私の心に残る言葉は「山本有三の「心に太陽を……くちびるに歌を持て……」です。皆さんはいかがですか。こんなお話もぜひ。
 伊地知咲子さんはちょうど火星の大接近の際(7月31日)空を見上げて感じたことをメルヘンぽく表現して面白いです。昨今の不穏な自然災害あるいは世界情勢の不安感をそれとなく匂わせてあり、星からの慰めのサインが届いて何となくほっとした。ほほに温かい風を感じます。ちなみに西南の役で西郷どんが自害した際赤い火星が現れ、あれは西郷星だと大騒ぎになったといわれています。
 中村弘之さん。老年太りを逆手に取って健康信仰を皮肉って愉快です。貯金も減る年金も減る、せめて体重だけは減らさないように。大賛成ですね。
 福島洋一さんも愉快なお話を寄せていただきました。平板な日常にちょっとしたユーモアあふれるワンシーンです。犬の「あんこ」は自分を人間だと思っているが、人見知りする性格。本当は福島さんを好きだけど、はずかしくてどうも愛想よくできない。こんな想像までしてしまいます。お三人とも短い中にうまく起承転結ができて感心しました。
 梅村薫さんは久々の高校生投稿者です。希望をもって高校に入ったが息苦しくてつらい。生徒同士の確執、理不尽な社会に対する大人の嘆き。そんな渦潮の中で翻弄される自分にウンザリ。でも若いから必死に生きようと強く語っています。プラスの何かを見つけようよ。がんばれ!
 梅村さんと同じ姶良市の宇都晃一さんはもしかしたら梅村さんのお爺様?孫娘を励ましています。ほかに小向井一成さんの「まごとじいの話」、有村貴代子さんの「歯」が印象に残りました。
 熊本県文化懇話会理事 和田正隆

最新の画像もっと見る

コメントを投稿