はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

故郷

2008-11-30 22:34:42 | はがき随筆
 今度が最後かもしれないと関東から義妹夫婦が帰ってきた。
 義妹は長年、病と戦っている。そんな矢先、頼り切っていた夫が脳こうそくで入院。幸い後遺症は少なく散歩もできる。秋の夜長、目や口がゆがみゆっくり倒れる様子を涙ながらに語る。
「でもこうしい笑顔で歩くの」と顔を上げた。これからの意気込みが伝わり、さすがだとうなずき笑みを返した。
 帰る朝、2人で歩く時にと差し出した手編みの帽子とマフラーを胸にあてている。大丈夫、また会えるよと肩に手を置くと「あの煮しめを食べに帰ってくるから」と笑って握手した。
   薩摩川内市 田中由利子(67) 2008/11/30 毎日新聞鹿児島版掲載

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1 コメント

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アカショウビンさん (オレゴンローズ)
2008-12-01 12:14:32
周りの方の愛情に支えられるという事はなんと幸せな事でしょう!!健康でいつまでも神様の御用が出来る事も大いなる幸せですが。。どんな状況にあっても祝福を数えられる心が与えられますように祈ります。
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