はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

マリンの行く末

2020-03-04 16:01:27 | はがき随筆



 生後間もない猫マリンは、老夫婦のもとに舞いこんで来てから既に1年3カ月になる。今ではすっかり家族の一員で、むしろ我が家の主人公でもある。マリンの一日は、食事や寝るとき以外のほとんどを野外で過ごす。庭や裏山を散策し、ときにはネズミやメジロをくわえて誇らしげに帰ってくる。活動的なマリンは食欲旺盛。そして昼ごはんを食べたら決まってコタツで昼寝をする。マリンはどこの猫よりも可愛い。私たちは高齢のためペットを飼わないことに決めていた。だが見捨てるわけにいかず飼うことにした。気がかりなのはマリンの行く末だ。
 鹿児島県志布志市 一木法明(84) 2020/3/4 毎日新聞鹿児島版掲載

鏡は正直

2020-03-04 15:51:26 | はがき随筆
 昨年末白内障の手術をした。最初に右目の眼帯が外れて鏡の中の顔に目を見開き驚いた。
 見える、はっきりと見える。シミ、シワ、そばかすだらけの顔が映っていた。病院食で痩せて口周りのシワはできたと思い込んでいた。
 退院して、誰も顔の変化に気づかないので気になり尋ねると別にと言われた。姪っ子に「全然変わらん、そんな顔だよ」と大笑いされた。大ショック。
 よく見えていなかったのだと合点する。顔を粗末に扱ってきたせいよと鏡に諭された。鏡よありがとう。これからはもっと時間をかけて向き合いますよ。
 宮崎県串間市 武田ゆきえ(65) 2020/3/3 毎日新聞鹿児島版掲載