はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

虹のご褒美

2019-10-02 22:01:30 | はがき随筆
 連日の雨で、早朝散歩ができない日が続いた。久しぶりの晴れ間、やっと歩ける。いそいそと家を出る。常連の友人たちも集まり、台風がそれてよかったなどと話が弾む。いつものように輪になり、ラジオ体操へ。
 突然「アレ、虹が出ている」
との声に空を見上げれば、後者の真上に大きな虹が。しかも色鮮やか。みんな見とれ、しばらく体操の手が止まる。更に二重の虹もぼんやりと。高齢者たちの集いに「よく頑張ってるネ」とご褒美を下さったのかも。体操が終わる頃にはいつの間にか消えてしまった。暑さに負けず明日もと手を振り帰路へ。
 熊本市中央区 原田初枝(89) 2019/9/25 毎日新聞鹿児島版掲載

あなたは、何派?

2019-10-02 21:52:05 | はがき随筆
 温泉天国日本、サウナが一番。まずはタップリと汗をかき水風呂へ。これがまた気持ちいい。今日もサウナでなじみの客、人のうわさ話が好きな人、毎回いつもの自慢話をする人、芸能レポーター並みに話す人……。みな趣味もいろいろ、話が弾む。中でも食が一番盛り上がる。どこのトンコツ味がうまい、いやいやみそもうまいかも、あのラーメンはもうゴメン。食ほど好みが異なるものだ。麺だタレだと話はつきない。ところで自分はうどんが一番。子供の頃、母とバスで町へと。うどんは僕、妹はチキンライス。食は、よき母の味。あなたは何派?
 鹿児島県伊佐市 坂元佐津夫(67) 2019/9/24 毎日新聞鹿児島版掲載

運動会

2019-10-02 19:56:21 | はがき随筆
 「ほら頑張らんか、後ろから来よっどー」と自分より大きな旗を持って追いかけてきたのは、父ではなく近所のおじさん。私の小学校の運動会での事。花の団対抗リレーには大人の声援もすごかった。
 まだ素足で走る時代。速く走れるように足の指に輪ゴムをかけ、まじないを信じていた頃。
 昼には家庭の味をつつき、仕事を忘れつかの間の大人たちの宴の場でもあった。子供ながらにその光景が好きだった。
 良い事も悪い事も親のように言われ地域で育てられた。時代は変化したが、運動会のマーチを聞くとほのぼのと蘇る。
 宮崎県日向市 梅田絹子(64) 2019/9/23 毎日新聞鹿児島版掲載