はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

鬼の顔仏の顔

2017-04-09 20:20:33 | 岩国エッセイサロンより
   岩国市   会 員   片山清勝

 「鬼のような顔で私に文句を言うんよ」と厳しい目つきで話す人。聞いていたひとりが静かに「その時、あんたの顔も心も鬼じゃったろう」と発した。
 人の胸中の感情は、腹の虫の機嫌がよければ仏、悪ければ鬼の顔になるという。この虫とは一生付き合わねばならない。いつも機嫌よくして仏になりたいが、難しいと悩む。
 鬼を見たことはないが、小学4年の学芸会で「泣いた赤鬼」の青鬼役を演じ、心優しく涙を流す鬼のいることを知った。
 もし、鬼の顔に出会っても、心優しい顔で交われるよう、虫の機嫌をよくしておこう。

     (2017.04.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)