はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

後悔

2015-11-16 10:56:39 | はがき随筆
 病床の夫への後悔の念にかられる。こんなときはこのようにと足指の爪を切ってやれなかった。爪が妙に曲がり黒ずみ伸びた。何だか切るのが難しい。医師が処置した。感慨無量。夫は明朗な気分に浸った。爪は大切な身体の一部だが、つい見逃してしまう。10年余り病魔に襲われ壮絶なガンとの戦いに暮れた。
 ただ、傍らにいるだけが孝行者と認めて、微少な力が注がれた。昼下がり、のどが乾いたと、綿花に水を含ませて口元に誘うと、ごくごくとのどは響いた。のどはやさしく潤う。夫は永遠に幸せの美しい家族愛に包まれた。
  姶良市加治木町 堀美代子 2015/11/16 毎日新聞鹿児島版掲載

義実家の恐怖

2015-11-16 10:56:01 | はがき随筆
 「あなたたちは幸せ者なのよ! 鹿児島に嫁がなくて良かったわね!」
 鹿児島出身者で、地元に嫁いだ女性にとって、夫の実家から干渉されるのは当然だそうだ。
 家族旅行に必ずついて来る義父、知らぬ間に部屋の片付け、模様替えをする義母など。
 一番驚いたのは、飲み屋代わりにされる話。夜子どもを寝かし付けていたら、突然知り合いを連れて,酒を持ち込み、嫁につまみを作らせるという。絶句する県外出身者に、彼女たちが叫んだのが冒頭の言葉だ。
 鹿児島の皆さん、嫁を大事にしてあげてくださいね。
  鹿児島市 津島友子 2015/11/15