はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

実りの秋

2009-10-29 21:48:57 | アカショウビンのつぶやき




 去年から、野菜作りの楽しみを知った私…プランター栽培だが一人暮らしの食卓をまかなうほどの野菜は作れるようになった。
 春に採取し、大事に冷凍庫で保管していた種を蒔いたら、小松菜は三日で芽をだし、ぐんぐん成長、今は害虫も少ないので、柔らかな葉っぱを私一人でいただける幸せを味わっている。
 モロヘイヤ、ヒユナ、空芯菜は面白い花が咲き、種が大きく成長している。

 でもプランター、土、軽石すべてを園芸店で購入しないとならない。園芸店に行くにも足がない。行きはバスでも帰りはタクシー…。やっぱり私の農業はコストが高くつくなぁ。しかし、あの新鮮な味、成長の楽しみは何ものにも代え難く、どんどんプランターが増えていくのです。
 

恩返し

2009-10-29 21:06:02 | はがき随筆
 40年前、料理の修業で大阪の小さな旅館にいた。毎日仕事に追い回され必死に働いていた。自分の成人式などとっくに忘れていた正月の朝、たまたま宿泊されていた淡島千景さんに呼ばれた。さては料理のことで何か不手際でもと恐る恐る訪ねるとにこやかな顔で「おめでとさん!!」とご祝儀を頂いた。あの時のうれしさは一生忘れることは出来ない。この仕事をして良かったと思いながら着物姿の淡島さんが光り輝いて見えた。若き日の一番の思い出。どんなに励まされたことか。還暦を迎えた今あの恩を誰かに返したかなと反省する今日このごろです。
指宿市 有村好一(60) 2009/10/29 毎日新聞鹿児島版掲載