課内旅行で行った南薩摩路では、ススキや野菊の群生に圧倒された。
カメラを片手に動き回っていると、Iさんが潮風に黒髪をなびかせ、東シナ海に沈み始めた夕日に見入っている。彼は3歳年上の上司だ。
手折った一輪の花を目の前に差し出すと、目を細めて私をじっと見た。
マイクロバスに帰る道すがら、「さつま野寒菊か……。早く巡りあっていたらよかったなあ」。
小さな声だったが、はっきりと耳に残った。
あれから15年、国道すじでこの花を見るたびに彼のことを思い出す。
阿久根市 別枝由井(64)2007/1/5 掲載
カメラを片手に動き回っていると、Iさんが潮風に黒髪をなびかせ、東シナ海に沈み始めた夕日に見入っている。彼は3歳年上の上司だ。
手折った一輪の花を目の前に差し出すと、目を細めて私をじっと見た。
マイクロバスに帰る道すがら、「さつま野寒菊か……。早く巡りあっていたらよかったなあ」。
小さな声だったが、はっきりと耳に残った。
あれから15年、国道すじでこの花を見るたびに彼のことを思い出す。
阿久根市 別枝由井(64)2007/1/5 掲載